高級イヤホンを比較する
衝動買いって怖いですね・・・。


【高級イヤホン】
 以前記事に書いたけど、俺はウォークマン用イヤホンに Etymotic Research 社の ER-4S という高級イヤホンを愛用している。家でじっくり聴く際にはソニーのヘッドホン MDR-SA5000 に差し替えている。

 ER-4S は耳にキュっとねじり込んで使う形態であるため、耳の穴にやや圧迫感を感じるが、慣れれば特に気にならなくなる。とは言うものの、たまに MDR-SA5000 を使うとやっぱりとっても開放的な感じがして気持ちが良いし、やっぱり音も良いのだった。

 それで思ったのだが、もしかしたらイヤホンでも他の高級なのを買えば、もっと気持ち良く聴けるのか?・・・と。

 ER-4S 以外の高級イヤホンというと、Shure社の SE530(有名な E5c より新型の上位機種)か、Ultimate Ears社の Triple.fi 10 Pro が有名だ。どちらも5万円超級で、その性能には定評があるようだ。

 で、両者を比べてみたのだが、Triple.fi 10 Pro は本体の大きさがちょっと大き過ぎると思った。本体の写真だけ見ると分からないが、耳に装着している姿の写真を見ると、耳から太い棒が突き出てるみたいで格好悪い。ER-4S も形状や装着方法は似たような形態だが、Triple.fi 10 Pro に比べれば本体が小さく細い。その ER-4S ですらこの形態がちょっと気になっていた俺なので、Triple.fi 10 Pro は音質どうこう以前の問題で脱落。


【衝動買い】
 そんな時、ヨドバシで Shure 社の SE530 を発見してしまった。そして気が付いたら SE530 を購入していた俺(^_^;

 同社の E5c は昔から高級イヤホンとして有名だが、何だか造りがチャチいとか、使っていると変色するとか、音質以外の点で評価が低かった。が、最近発売されたこの SE530 は、それらの点を考慮したらしく、外見やパッケージが高級っぽく造られている。

 化粧箱は金属製の立方体。まずこの箱に「おお!」と驚かされた。(左の写真)

 そしてイヤホンのケーブルがかなり短い(45cm、ER-4S は 1.5m )。

 SE530 はケーブルを耳の後ろに回して装着する事を前提としているので、実質的な長さはこれより更に短い事になる。これはiPodナノ等を首から下げて使う際に、無駄に長くならない必要最低限の長さという事だと思われる。実際、ケーブルが 1.5m とか長いと持てあますんだよね〜。

 しかし実際に使ってみたらこの 45cm ではさすがに短すぎた。セットには長さの違う延長ケーブルが2本用意されているので、これを使って問題解消。

 ケーブルがジャックの根本から左右別になっている点にもこだわりを感じる。(右の写真)


【音質】
 音質については、店頭のデモを聴いてすぐに違いが分かるような物ではなく、家でちょっと聴き比べても「何となく違うような気がする」と思う程度の差だ。俺の耳の性能と感性によると思うが、高級機同士での比較だとこんなものだろう。

 で、3週間ほど実使用環境で聴き比べた感想としては、ER-4S の方が音がシャープで澄んでいて、使い勝手としても ER-4S の方が良いという結論になった。

 どちらか一方だけをずっと聴いている分にはあまり気にならないが、SE530 から ER-4S に切り替えると音像がクッキリして、かつ音色が澄んでいるように感じる(クリア&シャープ)。逆に、ER-4S から SE530 に切り替えると、同じ曲なのに何だか平凡な印象に後退してしまう感じがする。


【ベストポジションの取り易さ】
 ER-4S も SE530 も、耳の穴の中にちゃんと入れてやらないと正しい音(特に低音)が鼓膜に届かず、その実力を発揮できない。ベストポジションの取り易さという意味でも ER-4S の方に軍配を上げたい。

 つまり、ER-4S はキュッと耳にねじり込む事で比較的簡単にベストポジションを見つける事ができるが、SE530 はその形状の関係で、ねじり込む事が難しいのだ。

 ただし SE530 は耳栓パッドが柔らかく変形しやすい特殊材料で作られているため、一度装着してしまえばぴったりフィットし、耳への違和感はかなり小さい。

 なお ER-4S では、ベストポジションまでねじり込むと身体の骨やケーブルを伝わってくる震動音が聞こえてしまうため、それが弱点。SE530 でもこの音はあるが、パッド材料の関係からか、ER-4S よりは小さい。

 耳に装着している姿(外見)については、ER-4S は耳からケーブルがにょ〜っと飛び出しているような格好になるため、あんまり格好が良くない。(左の写真)※写真撮影のために子供の耳につけさせているので、耳の穴にほとんど突っ込んでいません。あしからず。
 一方、SE530 はケーブルも含めて全体が耳にフィットするデザインであるため、見た目にスマートだ。(左の写真)


【実際に使う上での不便な点】
 実際使ってみて分かった SE530 の不便な点としては、装着時に左右の別を確認しにくいという事がある。

 SE530 は形状的に、右耳用を左耳に入れる事ができないようなデザインであるため、装着前に必ず右左を確認する必要がある。しかし左右の別は薄い色でLとRが文字で表記されているため、暗がりなどではこの文字がほとんど読めない。そのため装着にけっこう手間取ってしまうのだ。

 その点 ER-4S は左右の別が赤と青という色で区別されていて、周囲がかなり暗くても迷う事が無い。

 また ER-4S は本体部分も含め全体がプラスチック製で軽く、首からぷら〜んとぶら下げた状態にして左右がぶつかり合っても、ぶつかるのは三段キノコ状のパッド部分だけで、本体へのダメージの心配はほとんど無い(右の写真)。

 つまり安心してぶら下げていられるのだ。
 しかし SE530 は、本体部分が大きく硬く、重量もそれなりにあるため、ぷら〜んとぶら下げると左右の本体がアメリカンクラッカーのようにカチカチぶつかってしまい、これが凄く不安だ(右の写真)。

 つまり左右の本体同士が強くぶつかり合わないよう、普段から慎重に取り扱う気遣いが要求されるのだ。

 このような左右の別の分かりやすさやぶら下げた時の気安さは、実使用上、音質と同じくらい重要な問題だと感じた。

 以上、音質、価格等を踏まえると、ER-4S は非常にコストパフォーマンスが高いイヤホンだと言えると思う。


【ノイズまで聞こえる】
 Shure 社の E5c は、他のイヤホンでは聞こえないノイズまで聞こえてしまう、という話で有名だが、俺が買った上位機 SE530 でも確かに、耳を澄ますと「サーッ」という感じの小さなノイズが聞こえる。

 ウォークマンの電源を入れたり切ったりすると、そのノイズが聞こえたり聞こえなくなったりするので、ウォークマンからの音だという事がわかる。

 が、俺が持ってる他の高級ヘッドホンでは、ボリウムを上げてもそんなノイズは聞こえない。(本当は鳴っているんだけど、気にならないレベルという事なのか?)

 この点がどうも腑に落ちない。俺が聴いた感じでは、「高性能なのでノイズまで聞こえてしまう」という感じではないように思うのだ。

 高音域については Etymotic Research 社の ER-4S や、ソニーの SA5000 の方がむしろ出ている感じがするのに、その ER-4S や SA5000 でノイズが気にならないのはなぜ? もしかして SE530 はノイズの周波数辺りの感度が盛り上がっているせいでノイズが聞こえやすいだけなのではないか?

 また、SE530 は効率が良いので、ER-4S の半分程度のボリウムで十分な音量が出せる。このため大音量を出しやすく、それでノイズも聞こえてしまうという事もあるかもしれない。


【で・・・】
 というワケで、SE530 を買ったまでは良かったが、従来から使っている ER-4S の方が総合的に良いという結論になってしまい、買ったばかりなのに SE530 の行き場所が無くなってしまった。ど、どうしよう・・・(^_^;;;;;;;;;; (無駄遣いしてる悪い子はいねがぁ〜ヽ(`Д´#)ノbyニョーボ)

[2007/10/21]


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