ハイビジョンハンディカム
HDR−TG1
こういうのが出るのをずっと待ってました。


【新時代のハンディカム】
 ベータムービー、8ミリビデオ、DVカムと数世代にわたりビデオカメラを使い続けてきた俺だが、最近思うのは、「テープとかディスクとかのメディアに記録して、そのメディアでそのまま保存する時代は終わったな」という事であった。HDDに記録するタイプも出ているが、何かHDDって外を持って歩くのには向いてない気がするんだよねぇ〜。

 となると半導体メモリーに記録という事になるが、近年メモリー容量がギガバイトクラスに大容量化した事と、動画のエンコーディング方式が進歩(AVCHD方式)した事で、ハイビジョン動画を半導体メモリーに記録する物がいよいよ現実になってきた。

 これまでもメモリースティックやSDカードに記録するタイプの物は発売されていたが、それらの商品にはいまいちピンと来ない俺だった。デザインとか仕様とか。

 が、遂に来た! ソニー HDR-TG1(下の写真)。

 縦型コンパクトスタイル。記録媒体はメモリースティックのみで、HDDとかDVDとかは使わないタイプ。

 メモリースティックに記録するタイプの物はこれまでにもあったが、フルハイビジョン画素、つまり1920×1080で撮影できて、HDDは内蔵せず、メモリースティックのみで保存するタイプではこれが初めて。また横型というスタイルも初めて。

 今回の新製品は、これまでとはデザインもコンセプトも異なる新機軸商品。

 ・ 縦型スタイルでチタンボディー。
 ・ 無駄な凹凸が無い立方体のスマートデザイン。
 ・ メモリースティックにフルハイビジョン記録。
 ・ αシリーズに使われている「BIONZ」や「Dレンジオプティマイザー」を採用。
 ・ 広い色空間「x.v.Color」対応。
 ・ 顔検出機能あり。
 ・ 起動時間が速く、パッと出してすぐ撮れる機動力。
 ・ 動画撮影中でも同時に写真を撮影可能。
 ・ また、ハイビジョン動画から300万画素級のスチル写真を切り出す事も可能。

 これはかなりビビビッと来ましたよ。即「これは買う」と思ったね。(あんた、DVカムを処分した時、ビデオカメラはもう買わないとか何とか言ってなかったっけ?byニョーボ)

 ただしちょっと気になる点がひとつ。(スルーされたっ?!byニョーボ)

 記録方式がAVCHD方式であるため、ちょっと前のスゴ録などでは記録再生に対応できない。要するに、これを使うためにはAVCHD録画に対応したDVDやブルーレイドライブ搭載のパソコンとか、AVCHDに対応したHDDレコーダーが必要になるって事。

 ウチの場合は2月に買ったVAIOタイプRで何とかなるが、対応機器が無い家庭ではどうなるのか? う〜む・・・。


【ファーストインプレッション】
 ソニースタイルで予約していたので発売日に到着。さっそくいじってみて気がついた点を挙げると、

 ・ 取扱説明書が薄い。昔のDVハンディカムに比べると異様に薄い。これは良い事なのかどうなのか? まあ、マニアックな機能は省いて、簡単操作に重点を置いた商品であり、実際そのまんま使える感じなので、こんなモノでも十分なのかも? 実際の話、本体の使い方の説明よりも、むしろ映像ファイルの扱い方や処理方法等、撮った後どうしたらよいのかというソフトウエア的な面が重要かも。

 ・ 外装がチタンというだけあって、本体は非常にガッシリしている。昔、ハンディカムがプラスチック製の筐体からマグネシウム合金製に変わった時のような新しさを感じる。(右の写真は、いわゆるハッチフルオープン状態。メモリースティックやバッテリーは背面から挿入)

 ただし、マグネシウム合金の場合と違って、チタン表面への加工の難しさのためだと思うが、表記の凹凸のエッジがちょっと鈍い感じに見えてしまうのは致し方ないところか?

 ・ 本体の大きさはコンパクトデジカメ「リコーGR2」より一回り大きい程度(右の写真)。

 重量はあるがこの大きさならネックストラップで首から提げて歩ける。自動開閉のレンズカバーも付いているので、素での持ち歩きに便利。このスナップショットを撮るスタイルがこの商品の売りですな。

 厚さについてもこの通り。

 見た目のイメージよりも薄い感じ。

 ・ 8GBのメモリースティックが最初から付いてきているので、買ってすぐ使えるのはありがたい。対応するメモリースティックは「PROデュオ」だが、同梱されている物には「PROデュオMark2」の文字が・・・(右の写真)。

 ええ〜! またメモリースティックに新しい規格が増えてしまったのね!(TдT)(メモリースティックはその誕生以来、コツコツと規格の数が増えている)

 こいつは書き込み速度の最低保証値を高速にした物だそうで、ハイビジョン撮影にはこいつでないと記録が安定しないらしい。(SDメモリーカードでいう「クラス4」とか「クラス6」みたいな区別ですな)

 ちなみに、この8GBのメモリースティックでフルハイビジョンモードの動画が約55分撮影できる。DVカムでは1巻1時間で特に困る事は無かったので、通常使用ではこれで十分だと思われる。

 ・ 主電源スイッチもあるが、そのオン/オフに関わらず液晶モニターを開くと即起動し、3秒程度で録画スタンバイ状態になる。つまり、歩いていて「お!」と思った時に「サッ」と出してすぐ撮影できるという事。この素早さにはビックリ。

 ・ 「ハイビジョン」という名前から地上デジタル放送で見るような高画質を期待しているとガッカリしてしまうかも。放送局の業務用カメラで撮影した映像と、首から提げられるような小型カメラで撮った映像を、いくら同じ「ハイビジョン」とは言え、比べてしまうのは酷という物。昔のDVカムに比べれば絶対値的に高画質なので、現時点ではこれで十分かと。彩度が高めの印象。

 ・ 撮影されたハイビジョン映像は、パソコン上では「m2ts」という拡張子のファイルで保存される。Windows Media Player 11 で再生しようとすると、「この拡張子は知らないけど、再生はできるかもよ?」みたいなメッセージが出る。やってみたら普通に再生できた。つまりパソコン上での再生はOK。

 ・ 映像の編集やDVD作成は付属ソフト「Picture Motion Browser」(マックは非対応)で行える。ウチの場合はVAIOタイプR付属の「Adobe Premiere Elements 4」があるので、そっちで編集してみた。(下の写真)



【ちょっと残念な点】
 ・ 底面が丸みを帯びているため、そのままでは自立しない(右の写真)。

 普通、本体をテーブルなんかにちょこんと置いておいて撮影するという事はよくあると思うのだが、なぜかこいつはそれができない。

 液晶モニターを開くと底面の面積も減るし、そのモニター部分が重いので、底面を平らにしても倒れやすいから、いっそのこと最初から自立しないようにしちゃえ、とか? う〜ん、頑張って自立できるよう工夫して欲しかった。

 ・ 録画ボタンやズーム操作は親指で操作するようになっているが、本体を普通に握った状態での親指操作は、俺的にはちょっと無理があるような気が・・・(右の写真)。親指に力を入れるとカメラが揺れてしまうよ。

 ここは、拳銃の引き金のように、人差し指で操作するスタイルの方が絶対に良いと思うのだが、どうか? ついで言えば、録画ボタンを押している間だけ録画されるというモード(昔のハンディカムにはあった)を復活させて欲しい所だ。

 ・ デジカメとしても使用できるが、GR2のような高級コンパクトデジカメと見比べてしまうと、やはり画質は劣る(色収差とか)。動画から静止画を切り出す事も可能なので、これを敢えてデジカメとして使う場面はほとんど無さそう。っつーか、デジカメ機能はいらなかったのでは・・・?

[2008/4/19]


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