システムインストール出産育児説
某月某日。我が家のパソコンの具合がどうにも悪くなってしまい、これはもうシステムの再インストールしかないか?そうなのかっ?!という所まで来ていたのだった。で、意を決して再インストールを敢行。これはその時得られた教訓からひねり出された物である。 再インストールは非常に面倒くさい。時間も手間もかかる。最低でも丸1日かかる事を覚悟しなければならない。また、それまで蓄積してきたファイルが消失してしまったり、ネットワークに接続するためのパスワードが判らなくなって苦しんだり、本当はマジに苦しんでいるのにニョーボに「楽しそうだね」と声をかけられたり、まあとにかく大変な事になる危険性が大きいのである。 しかし、ウインドウズにとってシステムの再インストールは車検のようなもの。毎年新しいマシンに買い換えるという人は1度も再インストールしなくても済むのだろうが、そうでない人は再インストールを避けて通る事はできない。(・・・とまでは言い切れないかもしれないが) だからパソコンユーザーたる者、再インストールについてはある程度知識がなければ困る。・・・はずなのだが実際には、経験があると自負する人でも苦汁をなめさせられる場合が多い(・・・だよね? みんな苦労してるよね?(^^;) 私はこれを「システムインストール出産育児説」と名付けた。二人目の子供が生まれた時、出産育児に関しては一人目で経験済みなはずなのに、細かい事をすっかり忘れてしまっている自分に気づく母親が多いという。ウインドウズのシステム再インストールもそれと同じで、滅多にやるものではないので、以前やった経験がある人でもその経験があまり生かされない。なかなか完璧に行かないという説である。 と言うわけで、ここで再インストールのやり方や注意点をまとめて書いておこうと思う。 【鉄則、その1】 HDD1台だけで使う場合には、その1台を1ドライブとして使用せず、必ずパーティションで分けて2ドライブ以上にして使用し、どれか1ドライブをバックアップ用にする事。 バックアップを取っておけば良いというのは誰でも知っている。しかし実際に有効なバックアップをしている人は多くないのではないか? それはまるで、チャイルドシートが有効である事を知っていても使っていない人がまだ多いというのに似ている。なぜバックアップを取らないのか? それはやはり面倒くさいからであろう。ならばまず、気軽にバックアップを取れる環境を整えるべきだろう。それにはHDDのバックアップをHDDで取るようようにするのが良い。CD−RやMOにバックアップする方法もあるが、HDDを使うのが一番速くて気軽だと思う。またCD−RやMOを使うにしても作業用の大容量ドライブが必要なので、そのためにもHDDドライブは2ドライブ以上必要なのだ。 HDDにバックアップすると、そのHDDがクラッシュしたら元も子もないジャン!という問題がある。だからCD−Rを併用すべきだろう。つまり、短期間の予備としてはHDDへのバックアップ。本当の意味でのバックアップにはCD−R。という使い分けが有効だと思う。(あれ? これだと「面倒くさいからバックアップを取らない人が多いのだ」という前提と矛盾するような気が・・・。ま、気にしない、気にしない(^^;) しかしHDDを2ドライブ以上に分けて使うのに抵抗を感じる人は多いのではないか? その理由のひとつに、ウインドウズでは同じドライブ内でのファイルのドラッグ&ドロップは移動、別のドライブへはコピーという意味になっているので、複数のドライブを使う設定にするとそれがコピーなのか移動なのかを考えながらファイル操作をしなければならなくなるので面倒くさいというのがある。だから1つのHDDを1ドライブとして使うように設定する場合が多い。 だが1ドライブ構成ではバックアップするのが非常に不便である。直接CD−Rにバックアップする方法も存在するが、HDD上にバックアップする方が使用するバックアップツールの軽さ、作業の気楽さ、分かり易さ等の点から(少なくとも現時点では)かなり有利である。実際やってみてそう感じたのだ。 つまり、バックアップ作業に使えるドライブをHDD上に用意すべきなのだ。HDDが1台しか無い場合にはこれを2ドライブ以上に分割してこれにあてるべきなのだ。実際苦労した私が言うんだから信じてもらいたい!(^^; 頼む! 例えば14GBのHDDを1台だけ使用する場合は、これを7GB+7GBの2ドライブに分割すると良い。こうすればシステムのあるドライブをもう一方のドライブに丸ごとバックアップする事ができる。システムに何か障害が起こった場合、バックアップから戻せばすぐに正常な状態に戻せるという訳だ。この気軽さが重要なのだ。 なおここで注意しなくてはいけない点がいくつかある。 (1)Cドライブに入っているシステムファイルをそのままの形でコピーしない事。システムと同じ名前のファイルが別ドライブに入っているとマズい事が起こる可能性がある。生のままではなく、バックアップツールでひとまとめのファイルにして保存する事。 バックアップツールとしては、「Drvcpy」や「D2f」といったフリーソフトがあるので、それを使えばよい。Drvcpyについては右を参照の事。http://homepage1.nifty.com/marimono/ (2)バックアップツールを使って別のHDDにシステムを移す場合、元のドライブと新しいドライブの間で、ファイルシステムやクラスタのサイズが同じでないといけない。クラスタサイズが違っていても使えるソフトも存在するとは思うが、少なくとも上述の「Drvcpy」や「D2f」ではダメである。「ファイルシステム」や「クラスタのサイズ」の意味が解らない人は、近所の人に聞いてでも調べる必要がある。 (3)バックアップツールを使って別のHDDにシステムを移す場合、元のドライブと新しいドライブは、たとえどちらか一方にでも不良セクタがあるとダメである。バックアップツールはセクタの中身をそのままベタで移すので、移す元や移す先が不良セクタだとまともな内容がコピーされない。だからバックアップ元もリストア先も完全スキャンディスクで不良セクタが無い事を確認してから行わないと、怖くて夜も眠られない。 【鉄則、その2】 システムに近い物から順番にインストールすべし。特に、アンチウイルスやノートンシステムワークスのようなシステムに深く関与するソフトは、どの時点でインストールするかよく考える事。 私の経験から言えば、システムに近い存在は最初にまとめてインストールしてしまい、通常のアプリケーションは最後にインストールするようにした方が良い。 つまりインストールする順番としては、 1、ウインドウズのインストール 2、インターネットエクスプローラー(最新版)や、システムのパッチ、サービスリリースなど 3、Windows Update 4、マイクロソフトオフィス 5、ATOKや秀丸、秀Capsなどの必須常駐ソフト 6、ノートンシステムワークス 7、その他のソフト ・・・というのがいいと思う(あんまり自信無いけど(^^;)。 Windows Update に入る前に一度バックアップを取り、Windows Update が問題無く終了したらまたバックアップを取ると良いだろう。Windows Update ってけっこう失敗する事があるのよねぇ・・・。また他のアプリケーションのインストールで何か不具合があったら、ここで取ったバックアップをリストアしてやり直せば良い。こうしないと失敗した時に一からやり直さなければならないので辛い。 ノートンシステムワークスやアンチウイルス等は他のソフトのインストールを自動的に監視するので、システムに近いソフトのインストールでは障害になる場合がある。だからシステムに近いソフトはノートンよりも前にインストールした方が良いと思う。また、後でアンインストールしたり移動する可能性のあるソフトは、ノートンよりも後にインストールした方が良いと思う。 ノートン製品は便利だが、それが返って障害の原因になったり、普通にアンインストールできないなど、意外に気むずかしいソフトである。 【鉄則、その3】 システムインストールをする前にUSB機器や拡張ボード類を抜いておく事。 USB機器と言ってもマウスやキーボードまで抜いてはいけない。私の場合、モデムボードは差したままでも問題無かったが、DVビデオからの取り込みボードで問題が起こった。 システムをインストールする際、システム自身が現在接続されている機器を判別して、個々に必要なデバイスドライバ等をインストールするのだが、たまに判断を誤る事あるようで、間違ったデバイスドライバが組み込まれたり、他のデバイスとの衝突が起こる事がある。これを回避するためには、USB機器や拡張ボード類を抜いておき、ハードウエアとしては素な状態でインストールした後に、改めてUSB機器や拡張ボード類のインストールを行うと良い。っつーか、そうしないと失敗する危険性がある。 また、そういうUSB機器や拡張ボード類のデバイスドライバ類は、それらを接続する前にインストールしておく事。接続した後にインストールしようとすると失敗する。デバイスドライバ類をインストールした後、一旦電源を切ってからUSB機器や拡張ボード類を接続し、その後に起動すると自動的に適切なデバイスドライバ類が組み込まれる。複数の機器をいっぺんにやると怖いので、ひとつずつやるのが良いだろう。 デバイスドライバが一見正常そうに見えて実は動作が正常でない物がある場合がある。例えばサウンド関係のドライバ。サウンドドライバがインストールされているように見えても音が出なかったりする事がある。こういう場合は、「デバイスマネージャ」で関係するドライバを全部削除してから、正式なドライバをインストールし、その後に再起動すると再起動時に正しくインストールされる。 なお、インストールする前にデバイスマネージャに変な項目(例えば、まだDVボードを入れていないのに、DVボードの項目があるとか)があったならば、その項目を削除してから上述の作業をする。 【鉄則、その4】 システム構築に必要になるソフトウエアは一ヶ所に集めておく事。 例えばプリンタドライバ、モデムやモニターの情報ファイル類、拡張機器のドライバ類など。FDやCD−ROMで提供されている場合が多いが、普段は使わない物なので、気が付いたら紛失していたという事がよくある。(たとえFDやバックアップCDが健在でも、説明書きが英語だったりして、何のディスクか解らない事もある) 紛失してもメーカーのサイトから入手できる場合がほとんどだが、紛失していなくてもメーカーのサイトをチェックすべきだ。最新版が出ているかもしれない。 これらを項目別にフォルダに整理しあらかじめHDDに入れておくと、後の作業が非常にはかどる。 【鉄則、その5】 ある程度まで行ったら適当な所で妥協する事。 バックアップを取ってあると気軽にやり直しができて便利だがその副作用として、完璧を目指すあまりちょっとした事でやり直したくなってしまい、何度も何度もインストール作業を繰り返しいつまで経っても作業が終わらなく(終われなく)なってしまう事がある。「今思うと、あそこはこうした方が良かったのでは?」とか「あれ?何となく反応が鈍い気がするなあ。あそこが悪かったのかもしれない。やり直そうかな・・・」などと考えてしまい、いつまでも完成しない堂々巡りに陥るのだ。こういうのは虚しいので、適当な所で折り合いをつけよう。高橋名人も「ゲームは一日一時間!」と言っていた事だし。 【鉄則じゃないけど悩ましい問題、その1】 アップグレード版やアップデート版はノーマル版より割安なのでよく利用されるが、再インストール時には注意が必要である。つまりアップグレード版だけではインストールできず、その元になったノーマル版が必要になるという事である。 例えば、我が家のオフィス2000はオフィス97からアップグレードした物だが、そのオフィス97も実はオフィス95からのアップグレードなのだった。そして、「2000」から見て「95」はアップグレード対象外商品なので、結果として、「95」→「97」→「2000」と順番にインストールしなくてはいけないのでは?などと悩んでしまう。(かなり後になって判明した事だが)本当はひとつ前のバージョンのCDさえあればアップグレードインストールが可能なのだけど、そういう説明はあまり詳しく書いていないので、そうとは知らずに一番古いバージョンから順番にインストールしてしまうのだった。 アップグレードを何段も重ねがけするのは非常に手間がかかるし、新しいオフィスをインストールする時に、旧バージョンの一部をバックアップするようで、余計な、絶対に使われないようなフォルダが作られてしまう。また、旧バージョンにだけあった機能が残ってしまって、後で削除してよいものかどうか凄く迷う事もある。これは凄く気持ちが悪い。 【鉄則じゃないけど悩ましい問題、その2】 アンチウイルスソフトはウイルス定義ファイルというのを毎週のようにダウンロードして更新しないと使えないソフトである。この定義ファイルをダウンロードするのにユーザー登録しないといけないとか、購入から1年間だけ無料とか、普通はそういうシステムになっている。 ところがシステムを再インストールした場合、アンチウイルスソフトも再インストールする訳だが、ユーザー登録が新規購入にしか対応していない物があり、その場合、新規に買った訳じゃないのにまたユーザー登録をしないといけなくなる。いいのかそれで? 後になって、二重登録しないで下さいとか苦情が来ない事を祈る今日この頃だ。 【インストールの便利技】 ウインドウズをインストールする際、CD−ROM内の「WIN98」フォルダの内容をあらかじめHDDにコピーしておいて、そのHDDの方のSetup.exeを実行するとCD−ROM無しでシステムのインストールができる。またこの方法でインストールすると、後でウインドウズで何か新しい設定にした時にいちいち「ウインドウズのCD−ROMを入れて下さい」と言われなくなる。HDD上の「WIN98」から読むようになるのだ。 |