ウォークマン中心のステレオを
USB-DAC編
物欲全開の秋


【オーディオ熱、再び】
 先月だったっけ? ソニーから新型ウォークマンの発表があった。

 ここで俺が注目したのは上位機種のZX100。

 従来のZX1やZX2はアンドロイドOSで動くタイプで、

 「流行りとはいえ、アンドロイドで動かす必要性は・・・?」
 「アンドロイドアプリを使う人はスマホで使うのでは?」
 「その機能は音楽とは関係ないよね・・・」

 みたいに思って買わなかった。高かったし。

 このZX1やZX2の俺が考える弱点としては、

 ・ 最近は何でもかんでもタッチパネル式だが、画面を見ながらじゃないと操作できない点が俺的には不満。何でもタッチパネル式の方が優れているというワケではないはずだ!という反骨精神もある。

 ・ アンドロイドOSの起動が遅いという人もいる。

 ・ アンドロイドのアプリは、少なくとも俺は使わない。アプリを使いたい人はスマホの方で使うと思う。

 ・ バッテリーの持ちがあまり良くない。

 などなど、この他にも音質の問題点を挙げている人もいるようだ。こだわりの機種だけに、不満もそれなりに出てくるのは理解できる。

 で、今度出るZX100という新機種では、

 ・ アンドロイドOSはやめて独自OSを採用。
 ・ タッチパネル式はやめて、Aタイプに似た操作方法を採用。
 ・ 操作のレスポンスが良くなる?
 ・ 電池の持ちも少し良くなるようだ。
 ・ 画像や動画を見る等の音楽以外の機能は無し。

 などなど、音楽プレーヤーに特化し値段を下げたっぽい。ま、それでも6万円以上するのだが、ZX2が12万円くらいなので、半額になったと思えば安いとも言えそう(^_^;

 「こ、これは買いなのか?!」

 と思ったが、ロスレスのファイルとか、DSD形式の再生とかの大容量ファイルを扱わないのであれば、下位のAシリーズで十分では?という意見もある。

 Aシリーズでも音の処理的にはZXシリーズと基本は同じ構成なので(コンデンサーとかの部品はZXの方が高品質の物を使ってるが)、俺が使うのにはAタイプで十分かも・・・と思い直した。

 でもAタイプの容量64GBの物が3万円くらいなのに対し、ZX100は128GBで約7万円であり、容量から考えるとZX100がべらぼうに高いというワケでもない感じ。

 ただ俺の場合、音楽ファイルは320kbpsの圧縮形式のを使っているので、現状64GBあれば十分であり、128GBだと使いきれない感じ。う〜ん、どうしよう・・・。


【ウォークマンを音源にしたステレオ】
 ところで、以前ウォークマンのヘッドホン出力をアンプに入れて本格ステレオで聴くというのを試した事があった。

 CDと聞き比べをやってみたが、特に音が劣る印象は無くて、ウォークマンを音源にしてもけっこう行けるジャン!と思ったのだった。

 その一方で、今のオーディオ界の流行としては、USBケーブルなどを通してデジタル音源のデータをD/Aコンバーターに入れ、そこからアンプ→スピーカーと繋ぐ構成が流行っているようだ。

 ここ2年くらいで出たウォークマンの上位機種はこの流れに対応しており、USB経由でデジタル信号(PCM)を出力できるようになっている。

 ヘッドホン端子から出すよりもピュアな音になるとの事で、だったら俺もやってみっぺか!と・・・。(さあ! また病気が始まってしまいました(^_^;)

 このシステムの肝はUSB経由で信号を受けられるD/Aコンバーター(通称"USB-DAC")。

 国内外かなりの数のメーカーから発売されており、1万円程度の物から数十万〜百万円クラスの物までいっぱい出ていて、どれがイイのかさっぱり分からない状態。

 このシステムを知るきっかけになったのは、ティアックのUD-301という3万円程度のUSB-DACだが、これもそこそこ評判も良いので、最初はこれ買うか?と思った。

 が、その方面のネット情報を調べてみると、この機種はUSB-DACの中では入門機的な存在であり、本格派を目指すならせめて10万円クラスの物が欲しいという意見が・・・。

 現在この方面で、10万円弱で買える物としては、

 ・ ティアック「UD-501」
 ・ デノン「PMA-50SP」
 ・ ソニー「UDM-1」
 ・ パイオニア「U-05」
 ・ マランツ「HD-DAC1」

 などがあり、中でもティアックとパイオニアとマランツの物のレビュー記事が多いようだ。ソニーやデノンの記事は比較的少ない・・・。

 で、パイオニアU-05はカッチリした寒色系の音色、マランツHD-DAC1はゆったりした暖色系の音色、ティアックは、音色についてはあまり語られず、まあ標準的という感じか?

 パイオニアU-05については、現状望まれている機能を全部盛りにしたような、「かゆい所に手が届く」仕様になっており、仕様的には非常に魅力ある機種なのだが、音色について批判的な意見も時々あって、その点で躊躇。

 マランツのは、音色的には問題無いのかも知れないが、マランツとしては初のUSB-DACという事(作り慣れてないかも?)が気になり、これも躊躇。

 となると、この分野の老舗的位置にあるティアックのUD-501か?この機種はもう3年くらい前の商品で、後継機のUD-503というのが今年発売になっている。が、503の方は値段が15万円くらい。現在501は値下がりしていて約6万円で買える事を考えると、この価格差はけっこう大きい。

 503の内容が、この価格差分だけ充実しているか?と考えるとちょっと疑問な気もして、今買うなら旧型で値が下がっている501の方がベストなのでは?と思うのだった。

 で、もうこれで1週間くらい悩みっぱなしで、パイオニアのが良さげに思えたと思ったら、急にマランツのが気になったり、やっぱティアックか?とかグルグル回転しまくり(笑)。

 ティアックの中でも、一番安いUD-301で十分なんじゃないか?と思った次の瞬間には、やはり最新最高のUD-503を買うべきなんじゃないかか?いやいやいや旧型UD-501がコスパ最高だ!などなど、グルグルグルグル・・・。

 うおおお! いったいどれを買えばいいんじゃああああ!!


【結論】
 で、結局どうなったかというと、この分野でのベストセラー機と言えるティアックのUD-501を選択した。実売6万円弱。

 で、こいつとUSB経由でウォークマンを繋げば高品位の音で鳴らせるというワケだ。

 ところが、この方法でデジタル出力をさせるとウォークマンのバッテリーが通常の2倍くらいのペースで減っていくという情報があるじゃないか! うぉおお!!

 と思った直後、ソニーからデジタル出力を出しつつ電源供給もできるというクレードルが発売されてるよという情報が入り、俺の気分はV字回復!! やったね(苦笑)。

 このクレードル(BCR-NWH10)は、たかがクレードルひとつで1万円以上するのはちょっと高いなと思ったが、現時点では唯一無二のアイテムなので半分仕方なく買ってきた。(下の写真の右にある黒い四角い小箱みたいなのがそれ)



【USBケーブルも沼】
 これでウォークマンとUSB-DACを繋げば、ウォークマンを中心にしたステレオセットが完成する!

 ・・・と思われたが、何とUSBケーブルについてもオーディオ系では「USBケーブルで音が変わる!」とされていて、やたらめったら高価な物が売られていたりする事に気が付いた。

 出たよ・・・、オーディオ業界得意のオカルトだよ〜。そんなワケないでしょう〜〜〜(笑)と思ったのだが、意外にも、「予想外に音が変わる」という意見も多くて、俺としてもムゲにオカルトとは言い切れない気分に・・・。オーディオ系の雑誌に「ふろく」として、各社のUSBケーブル(短いヤツ)をつけた事もあったようだ。

 で、現時点での見解をまとめると、

 ・ 音質変化の原因は、転送エラーが発生した場合のリトライが行われないモードで転送が行われているため、エラーで音が劣化しているからか?

 ・ 転送エラーが起こる原因のひとつは、USBケーブルの中に同居しているバスパワー(電力供給線)からのノイズが怪しい。しかしそれで本当にジッターやエラーが出るの?というのは別問題、という議論が行われている。

 ・ もうひとつの原因は、ケーブルのインピーダンスが合っていない事による信号波形の劣化。まあ、安いケーブルではキッチリ合わせてないかもね。でもそれでジッターやエラーが(以下略)。

 ・ というワケで、バスパワーの線と信号線を別々にシールドしたり、バスパワーの線を根っこから分離したり、あるいはバスパワーの線を最初から繋がないとか、バスパワー用の電源装置を別に用意してキレイな電流を流すとか、様々な対策をした特別なUSBケーブルが開発されている。

 ・ メチャクチャ高いヤツは単に材料が高価なだけだったりするので、高ければ良い結果が得られるとは限らない。(これは断言できそう)

 ・ しかし「ケーブルが長いとダメだ」というのは確実っぽい。

 というワケで、そこらにある1.5mのUSBケーブルを使うのはやめといた方が良さそうだ、という事になり、手ごろな値段で、そこそこ良さそうなヤツを物色する事に。

 昔からお世話になってる秋葉原の電線専門店、オヤイデ電気の通販サイトをチェックしてみると、「コンチネンタル5S」というUSBケーブルが売られてて、こいつは0.6mの物が2万円もする! ぎゃあ(^_^;

 導線には純銀を使い、信号線と電力線を分けて個別にシールドして電極はロジウムメッキしているという。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏・・・。思わず念仏を唱えてしまうような内容だ(^_^;;;;

 で、冷静になって「短いヤツ」という事で探してみたら、一般向けで15cmの物があって、値段も数百円程度なので、とりあえず確保した。(右の写真)

 しかし15cmの物だと短すぎて配置的に使えず、結局30cmの物で繋いだ(^_^; (下の写真で、黒い短いUSBケーブルがその15cmの物)


【XLRケーブル自作】
 で、次にやるべき事は、USB-DACとサンスイのアンプを繋ぐ事だが、最近の流行は「バランス接続」での接続だ。

 ほとんどのオーディオ入力で使われているRCAピンジャックは1芯の同軸ケーブルをプラスとマイナスの2つの電線を接続するワケだが、業務用のケーブルではXLRというコネクタを使って、HOT・COLD・GNDの3つの電線を接続する方式。これには通称「キャノンケーブル」(カメラのキヤノンとは関係ない)のケーブルが使われている。

 今話題の「バランス接続」もこのXLR型で接続する。

 上述のUD-501でも、このバランス接続が使えるようになっていて、こうなるとついつい自分もバランス接続を試してみたくなるのが人情だ。ちょうど俺が持ってるサンスイのアンプは、そのXLRでバランス入力できるようになっているし!

 ・・・。

 ところがである!

 これは古くからのオーディオマニアの間では有名な話らしいが、日本の一般向けオーディオ機器に付いているXLRは、世界標準のXLRとはピンアサイン、つまりピンの意味の割り当てが違っているそうなのだ。

 世界標準では1番ピンGND、2番ピンHOT、3番ピンCOLDという割り当てなのだが、サンスイのアンプなどでは2番ピンと3番ピンの意味が逆なのだという。いわゆる「3番ホット」だ。

 最近の機器では世界標準のピンアサインになっている物が多いようだが、昔のサンスイなどのアンプなどを使っている人は、この問題を考慮しないとダメだとの事。

 というワケで、今回購入したUD-501とサンスイのアンプをXLRで繋ごうとすると問題が起こるというワケなのだ。

 困った!(苦笑)

 ネットで情報を探してみると、ケーブルを作ってくれる業者に頼めば2番ピンと3番ピンをクロスにした特別なケーブルを作ってもらえるというが、そのくらいだったら自分でも作れるんじゃないか?という気分に。俺、小学生の頃から電子工作やってたし、仕事でハンダ付けをやってた事もあるし。

 ネットで検索すると自作している人が作り方を説明しているので、それを参考に挑戦してみた。ケーブルやコネクタ類は、例によってオヤイデ電気から通販で調達した。

 オーディオマニア的にはベルデン社の"8412"というケーブルが昔からの定番という事になっているようだが、このケーブル、古くからある物らしく、

 「"8412"が標準と言ってるのは日本のオタクだけ」
 「録音スタジオで実際に使われているのはモガミ電線のだよ」

 との意見もあるようだ(真偽は不明)。

 っつーワケで、今回はモガミ電線の"2534"という物を選択。コネクタは有名ブランド「ノイトリック」の"XX"シリーズにした。

 で、材料が届き、いざクロスケーブルを作るぞ!という段階になってから、UD-501の取扱説明書をよく読んでみたら、2番ピンと3番ピンの内容を標準(2番ホット)にするか逆(3番ホット)にするかをオプション設定で選べるようになっていて、クロスケーブルにする必要は無いという事が分かったのだった!(右の写真)

 何じゃそら〜〜〜! じゃあケーブルを自作する必要も無かったジャン!と思ったが、まあ、自作した方が性能が良い物を安く作れるので結果オーライという事にしときます(下の写真は完成したケーブル)。


 こうして無事にXLRケーブルが完成。ウォークマン→USBケーブル→USB-DAC→XLRケーブル→サンスイアンプというシステムが出来上がったのだった。

 なお、全てが完成した後で、「気にする人が多いようですが、バランス接続では(左右のチャンネルの極性が合ってさえいれば)2番と3番が逆になっていても実際は問題無いのですよ」という話を発見してしまい、再び

 何じゃそら〜〜〜〜!!(笑)

 (つづく)

[2015/10/3]


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