キヤノンのデジカメ
パワーショットG1じゃい!

だって、今はこれしか無いっしょ!?


 デジカメを買い換えたナリよ。これまではオリンパスの2020というデジカメだったのだけど「失望の一品」にも書いたように、何だかイマイチな感じだったナリ。あ、でもオリンパスの名誉のために付け加えておくと、オリンパスのこのシリーズは一般的にはどれもそれなりに評判が良く、単に私の趣味に合わなかったという事だと思うナリ。

 で、今回新しく買ったのはキヤノンのパワーショットG1というデジカメだ。G1は、外見がヤボったげでしかも本体が厚ぼったく、重量も重め。しかし画質はダントツに良いと評判の機種だ。発売当初からその評判は知っていたのだが買う所まで行かず、そのまま半年経ったのだった。

 別項「キヤノンのプリンター&スキャナー」で説明しているように、私は最近プリンターを新調しデジカメ画像をプリントするとまさに写真のような画質で印刷できる環境を手に入れた。すると逆にデジカメの能力不足を痛感するようになり、もっと良いデジカメが欲しいと思うようになったのだった。つまりデジカメの普及が写真画質プリンターの登場を促し、写真画質プリンターの普及が高画質デジカメの購入を促すという、業界にとってはまさに思うツボの好循環というワケだ。

 さて今回購入したのはG1本体と専用セミハードケース、外付けストロボ(キヤノンEOS用スピードライト420EX)、PC接続キットなど。いっぺんに揃えてしまった。毎度の事ながら、必要な物は一度に揃えるのが黒沢流(^^;

 使ってみた第一印象としてはかなりグッド!

 外見上のスペックを比べるだけなら2020など他のデジカメと大差は無い。電源オンから実際に撮影できるようになるまでの時間とか、フォーカスロックするまでの時間とか、シャッターを押してから実際に撮影されるまでのタイムラグなどはオリンパス2020など他のデジカメと大差無し。この辺りは店頭で試してあらかじめ判っていたので今さら文句を言うつもりは無い。

 問題はそれ以外の点。なんつーか、ボタン類が使い易い感じ。機能的にはオリンパス2020とそんなに違わないのだけど、仕様的に使い易い仕様になってるという感じ。オリンパス2020ではいちいちメニュー画面から潜っていかないと設定できなかったような設定を、感覚的に解りやすい操作で設定できると感じた。
 また、レンズキャップを取らずに電源オンするとレンズが前に延びられなくてエラーになるという点はオリンパス2020と同じだが、キャップに紐が付いていて、紛失しないようになっているのは好感が持てる。自動ホワイトバランスも2020より賢いような気がする。

 PC接続キットは(中身の割に)値段が高いのでちょっと迷ったけど、カードリーダーを使うとすると、まずCF(コンパクトフラッシュ)をPCカードアダプタに挿して、それをさらにカードリーダーに挿す形になるので面倒くさいと思った。また、カメラをパソコンに接続すれば、後は簡単な操作でそのままプリンタで印刷できる環境にしたかったので、接続キットを購入した。(キットに含まれるソフトでそういう事が可能)

(1)外付けストロボは想像以上に有効だ。
 今時の内蔵ストロボは昔の銀塩コンパクトカメラの基準で考えてもちょっと非力。G1はキヤノンEOS用の外付けストロボを使えるのだが、これを一度経験すると、内蔵ストロボを使うのが全く馬鹿馬鹿しくなってしまう。

 ストロボをテスト発光させて、その光が撮影対象に対してどの程度影響を与えるかを調べ、その上で発光強度を自動調整して本番を撮るというテクニックが自動で使えるため、撮影結果が実に綺麗に決まって嬉しい。

 特に、バウンス撮影(ストロボを撮影対象とは違う方向に向けて光らせ、天井などで反射させた間接光で撮影する方法)が使えるのは凄い。バウンス撮影で撮った結果を見ると本当にわくわくする。久々に燃えるゼ!という感じ。バウンス撮影が使えるだけでも買った価値があったと思った。

 普通にストロボ撮影すると、左の写真のようにバックが暗く写り、被写体もテカリや影がきつくなる。こういうのがあるからストロボを使いたくなかったのだが・・・

 バウンス撮影だと、このように自然な感じの仕上がりにできる。その差は一目瞭然。
 私は暗い所ではストロボは使わない主義だった(明るい所で使う事はあった)けど、これなら積極的に使いたいと思える。G1を使いこなすなら外付けストロボは必須だと感じた。買う前から外付けストロボを使えば凄そうだとは想像していた。だからこそストロボも一緒に購入したのだが、ここまで出来るとは思わなかった。

(2)バリアングル液晶モニター
 角度が自由に変えられるのは確かに便利。しかし、画面がいかにも小さい。あと、機構的外見的に言ってやはりヤボったい構造と言わざるを得ない。表示は緻密で再生画質には特に不満は無い。しかし撮影時のリアルタイム画像はややノイズが乗る場合があるようだ。これは映像回路の問題だと感じた。ヤボな構造も含めて改良の余地ありと見た。

(3)大きさ重量的には全然OK
 一般的なデジカメに比べると重くて大きめと言われがちなG1だけど、使ってみると「これくらいでちょうど良いのでは?」という感じ。私としてはむしろ、もうちょっと重厚でも良いくらいだと思う。これで本体がチタン張りとかマグネシウム合金フレームとかだったら「持つ喜び」的にも最強になれるのになあ、と思った。

(4)スタパ氏も指摘していたメインダイヤルの使い勝手
 上下2段のダイヤルの下段が回しにくいという問題。これは確かにある。また、下段だけ回そうとした時に上段のダイヤルまで一緒に回してしまう事もある。下の段が電源オン/オフなど必ず使うダイヤルなので、これが回しにくいのはちょっと難点。ただし慣れの問題もあるし、許せないという程ではない。

(5)画質はくっきりすっきり、色もはっきり、という感じ。
 画質に関しては今のところ文句無し。これまで使っていた2020はピントが甘めで、G1と比較するとグラデーション表現に劣るように見える。2020は期待した色があんまり出ない傾向があったので、今の気分としてはこのくらいメリハリがはっきりした画質の方が望ましいと感じている。(むしろメリハリが有りすぎると感じる人もいるかもしれない)

 カラープリンターで出力するとA4版でも十分な画質で、嬉しくなってドンドン印刷してしまうのだった(右の写真)。ああ、買って良かったぁ〜。

(6)光学ファインダーの性能はイマイチ。
 視度調整が付いているのは良いが、見やすさとしてはイマイチ。ここも改良の余地あり。

(7)マニュアルフォーカス機能もイマイチっぽい。
 マニュアルでもフォーカスを調整できるようになってはいるが、かなり使いづらい。そもそも小さな液晶画面を見てフォーカスが合ってるかどうか調整する事自体に無理があると思う(説明書には画面拡大機能を併用すると良いと書いてあるけど、やっぱりちょっと無理があると思う)。まあ、2020にもマニュアルフォーカスはあったけど、一度も使わなかった。何か特別な事情があった時の為の保険みたいな物か。

(8)バッテリー関係。
 カメラ本体で充電できるのは良い。リチウムイオン型だから気兼ねなく継ぎ足し充電できるし。

(9)画像サイズや圧縮率、露出補正、ホワイトバランス設定がやり易い。
 2020に比べてこれらの「よく使う設定」の設定方法が使い易い仕様だと感じた。使いにくい仕様だと、設定が面倒くさくて結局使わなくなってしまうんだよね。つまり、使い易くなければ機能があっても意味が無いという事。

(10)専用セミハードケースは外で撮って回るような人には必要。
 G1本体のストラップは今流行の首から提げるタイプの片持ちストラップで、カメラを左右両側で吊すタイプではない。これがちょっと不満なんだけど、このセミハードケースを使うと左右両側で吊すタイプにできる。デザインも昔ながらの革ケースそのままで、いかにもカメラという感じなのが良い。「何だか高級そうなカメラ」という雰囲気を醸し出す。
 ただし、このケースに入れたままだとUSB接続口が開けにくくなるという弱点もある。

 かように満足度が高いG1であるが、それだけに細かい所でいまひとつという所を発見すると、遺憾の念を表明したくなるワケだ。最後にひとつ付け加えると、本体側面にUSB接続口と電源コンセントがあるのだが、その部分のカバーの構造がイマイチ使いにくい。USBも電源も頻繁に使う物なので、もうちょっと頑張って欲しかった。

【2週間使ってみて気が付いた事】
(1)感度400は使えない。
 感度を50、100、400、AUTOの中から選べるようになっているのだが、400だと露骨にノイズが乗るので、キレイな写真を撮りたい時には全く使えない。まるで夜に撮ったビデオみたいにノイズが乗る。

 一方、感度50だとノイズ感は非常に少なくなるが、ちょっと暗めの環境では絞りが開き、シャッター速度が遅くなるので、従って被写界深度が浅くなってしまってフォーカスが狙った所に合わなかったり、手ブレが目立ったりする。

(2)RAW画質は使いにくい。
 記録形式をJPEGかRAWかを選べる。RAWを試してみたが、RAWはJPEGより画質は良いのだろうけれど、あまり実感できなかった。むしろ、RAWファイルの扱いにくさの方が嫌だった。
 RAWファイルはパソコン上ではいちいちTIFF形式に変換して画面に表示するようになっていて、その変換に1枚25秒もかかってしまう。だからサクサク閲覧できないのだ。これでは使えない。

(3)遠景に弱い。
 スタパ氏も書いていたけど、G1というよりはデジカメ一般に言える事らしい。ポートレートや近景は特に問題無いが、遠景では描写力という意味でちょっと不満が出る事がある。

(4)液晶モニターがやたらに熱くなる。
 数分使っただけでかなり熱くなる。「大丈夫なのか?」と心配になるくらい。ホント、大丈夫なのか?

(5)やっぱりもっと反応が速くなって欲しい。
 シャッター半押しからスタンバイOKまでの時間や、シャッターを押し込んでから実際に撮影が行われるまでの時間が気になる。他のデジカメもこんな程度だとは思うけど、銀塩カメラのレベルで考えたらちょっと許せないくらいの遅さと言えるでしょう。たぶんこれの10倍以上速くならないとダメな気がする。ここが改善されるにはまだまだ時間がかかりそうだなあ・・・。

(6)プロフェッショナルフォトペーパー
 キヤノンでは印刷用紙を、普通紙、カラー普通紙、高品位専用紙、光沢紙、フォト光沢紙、プロフェッショナルフォトペーパーなど、かなりの数のグレードを用意している。これまでに普通紙、高品位専用紙、フォト光沢紙を試してみて、「写真」としてプリントするならばフォト光沢紙という結論であった。

 今回、最高グレードであるところのプロフェッショナルフォトペーパーを使ってみた。結論から言えば、仕上がりとしては「フォト光沢紙」とあまり違わない。フォト光沢紙は20枚で千円。プロフォトペーパーは12枚で千円。プロフォトペーパーはさすがに素晴らしい光沢で、一般の写真と同じかそれ以上の光沢があり(右の写真でも、プリントに光沢があるのがわかるでしょ?)、一枚一枚薄い保護紙が付いてくる。プリンターにセットする時は1度に1枚しかセットできないという不便な所もある。これぞ!という写真はプロフォトペーパーでプリント、という所ですな。

 なお、プロフォトペーパーを使って最高画質でプリントしても、細かく見てみると残念ながらまだ本当の写真にはおよばない。濃い色の表現は写真に迫る物があるが、明るい、白に近い色では疑似階調の粒子が見えてしまうのだ。が、これを本当の写真だ思ってしまう人も多いはず。そのくらいの仕上がりだ。3万円程度で買えるプリンターでここまで出せるというのは、かなり凄い事なのではないか? また、自分のパソコンで(フォトショップなどを使って)自由に画像処理した映像をプリントできるのはデジカメならではの技。銀塩カメラでそのような特殊処理した写真を作るのはプロの写真家しかできなかったはず。それに銀塩カメラだとA4版くらいの大きさにプリントしようとしたら相当の金額と時間がかかるが、それが実に気軽にプリントできるようになったというのは、やっぱ凄い事だ。


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