ソニーのワイドテレビ
KV−36DZ950

買い換えは時期尚早だが現行テレビが壊れてしまったので仕方なく・・・。


 帰宅してテレビを見ようと思ったら、音はするのに画が出ない。色々調べた結果、ブラウン管が死んでいる状態のようだ。(去年の春ころから色がおかしくなったりしてたのよねえ・・・)
 これはもう基本的にダメくさい。テレビは日常の必需品なので1日たりとも空白は許されぬ!という事で新しい物を購入する事に。
 今テレビを買い換えるとすると当然デジタルBSハイビジョン対応の機種という事になるが、調べてみると状況は想像以上に寒い。つまりあんまり魅力的な商品が出ていない。
 とはいえ何か買わなきゃテレビが見れないから、結局ソニーのDZ950というワイドテレビ(BSデジタルチューナーは内蔵していないタイプ)を購入した。

 では、その使用報告を一席。
(1)ポテンシャルは高いけど、標準設定の画質には納得できない。
 FDトリニトロン管の画質は最初のWEGAが発売された時から画質が悪いと思っていたが、今回家で見てもやっぱり納得できない。くっきり・はっきりしてはいるのだけど「わざとらしい画質」とでも言うか色が妙に鮮やかで、のっぺりした感じ。黒が潰れている。自然な画質というのとはかなり違う。
 店頭効果を狙って派手めな画質のモード(「ダイナミック」モード)を用意しておくのは昔からあるけど、こいつの場合は本来実用向け設定であるはずの「リビング」モードでもそういう傾向がある。

 でも画質調整機能を使って調整すれば画質問題は解決できる。調整した後の画質はほぼ満足のいく高画質。でも一般の人はそんな画質調整なんてしないよね? あんな画質を標準設定にして出してていのかねえ?ソニーとしてはさあ・・・。

 プロフィールPROと比べると、プロフィールPROの方が明らかに自然で素直な画質。やっぱりプロフィールの画質は凄かったんだなあと痛感した。まあ、プロフィールPROは業務用にも使える仕様だけど、DZ950は普通のテレビだからねえ・・・。

 「DRC4倍密度高画質」は、特別凄いとは思わなかった。縦方向に走査線2倍、横方向の波形をデジタルで補正して2倍合わせて4倍高画質という事だが、これも「嘘くさい画質」の一因になっているように思う。
 またこの機能を強くすると画面がノイズっぽくなってしまう。どうやら輪郭強調する方向に作用するため、本来は隠れていたノイズが強調されてしまうようだ。現在は効きを最低レベルにして使っている。

 さて調整後の画質だけど、特にCSやBSで見るアニメは驚きの高画質! DZ950はアニメみたいに輪郭がはっきりした映像にはめっぽう強いようだ。ベタで塗られた色は、まさにその色のベタ以外の何者でもない、実にノリの良いベタとして表現される。そして嘘くさいまでに色が鮮やかで明快な画質。黒が驚くほど黒く出る。黒が黒すぎて気味が悪いくらいだ。そして白黒のメリハリが強い。つまり白から黒までのダイナミックレンジが広い。ただしデフォルトの画質設定だと黒が潰れがち。

 BSやCSの映像はアナログ的なノイズが少ないので、DZ950で見ると以前よりも高画質に見える感じ。が逆に、電波状態の悪い時の地上波放送やノイジーなVHS3倍モードなんかは汚く見えてしまいがち。元がきれいな物は凄くきれいに見えるが、元が汚い物をきれいに見せるという能力はあんまり無いようだ。
 画質の結論としては、調整を行えばOK。ある意味プロフィールPRO以上の凄い画質が出る潜在能力があると見た。元の映像の画質が高いデジタル放送との組み合わせで真価を発揮する。

(2)スピーカーは低音が出過ぎる。
 低音が出るのは悪い事ではないけれど、標準設定では低音が出過ぎだと思う。「音質調整」で低音を抑制しないと、低音がうるさくてダメだ。

(3)使い方
 ワイド画面の使い方は慣れるまでちょっと戸惑う。「ズーム」と「フル」ってどっちがどういう表示形態だったかとか、すぐに忘れちゃうんだよね・・・。

 WOWOWやNHK−BSの映画放送でよくやっているシネスコ画面なんかを自動検出してワイドいっぱいに拡大して表示する機能がある。これがけっこう便利。やっぱ、大きく映し出されると迫力が違う。拡大している分だけぼやけた感じになってしまうのは仕方がないが、元の画像品質が良ければかなりのクオリティで視聴できる。


【不満な点】
(1)時間軸方向でもノイズリダクションを行っているらしく、動きがある映像ではやや跡を引く感じがしてしまう。これはハイビジョンでは気にならないが、従来放送ではちょっと気になる。

(2)ビデオ入力が足りない。普通のビデオ入力は事実上2系統。3つ目のビデオ入力はWOWOWデコーダーで使われるから、他には使えない。(BSデジタルでWOWOWを見る場合には3つ目が空く)
 他はD端子が2系統と、コンポーネント入力が1系統、PS2が繋げられるAVマルチ端子が1系統。
 デコーダー電源はTV電源と連動したい所だが、そういう配慮は無いようだ。WOWOWやMUSEデコーダーを使う場合は工夫が必要だ。

 BSデジタルチューナーを外付けした場合、BSデジタルチューナーをテレビ本体と電源が連動するようにしたいのだが、そういう事ができない。BSデジタルチューナーの電源はテレビとは別途操作する必要がある。

(3)設定メニューの画面表示はきれいで上品な表示(下左の写真)になっているのに、音量や画質モードなどの表示が昔ながらのカクカクした粗い字体の緑一色の文字(下右の写真)というのはどういう訳か。前のプロフィールPROではちゃんと一貫性のある表示だっただけに、これは手抜きじゃないの?
 全体的に上品にできているだけに、一部だけ低レベルの物が混ざっているとそれだけで大きなイメージダウンだ。高級機種でこういう中途半端なマネをやってはイカン!

【体験BSデジタル】
 電気店で「BSデジタルチューナー無料貸し出し」キャンペーンをやっていたので、借りてきた。(ソニー製)

(1)アンテナは従来のBSと同じでOK。
 方角も全く同じ。つまり、すでにBSが見れている人はすぐに視聴可能。

(2)想像以上にチャンネル数が多い。
 NHKと民放各局、WOWOW、スターチャンネルまでは知っていたが、その他にラジオ放送、データ放送があるのね。

 そしてラジオにも電子番組表があるのは便利。受信中はその番組を紹介するような静止画が表示されるのだが、画面が表示されっぱなしのままでラジオを聞くというのは気持ち的にかなり抵抗あり。同じ絵をずっと見つめているわけにもいかずうるさい感じ。そもそもブラウン管に悪そうだ。ラジオの時は画面は出なくてもよいと思う。テレビの時に音を消すミュート機能があるんだから、ラジオの時に画面を消す機能があってもいいはずだ。節電にもなるし。

 一方データ放送というのは、ウェブみたいな画面を操作して情報を得るという放送(?)。番組情報や提供会社のCMなんかが見れる(右の写真)。これがパソコンだったらそれほど問題にはならなかったのかもしれないが、テレビでウェブみたいな操作をするのは意外にかったるい作業で、わざわざこの操作をしてまでCMを見る人がどの程度いるかは疑問。また、そうまでして見れる情報の詳しさが普通のCMと同じレベルなのも問題あり。この手のサービスはもっと細かく詳しい情報を提供してくれる物でなくては、わざわざ見に行く必要性を感じない。

(3)ハイビジョン画質はさすがに凄い。
 直接比較していないけど、従来のハイビジョン(MUSE方式)よりも高画質だと思う。

 最初見た時には「あれ?こんな程度の画質だったっけ?」と思ったが、不審に思って調べてみたらチューナーのパネルに映像出力を選ぶスイッチがあって、デフォルトではこれがD1になっていたのだった。D1だと、まあ従来方式と同じかやや良い程度。これをD3にするといわゆるハイビジョン画質になる。
 逆に言うと、D1画質でもそれなりに高画質。目が悪い人や爺さん婆さんだと気がつかずに「ハイビジョンはきれいだねえ」と言って見ているかも・・・。

 BSデジタルの画像は従来のテレビに比べてノイズ感が少ない(っつーかノイズが見えない感じ)。まるでデジタル接続の液晶画面のような、「出来すぎ」な映像。NHKの場合、従来のBS(BS1、BS2、ハイビジョン)と同じ内容をデジタルBSで放送しているので、2画面機能を使ってこれらを同一画面上で比較する事ができる。(デジタルBSの方がアナログBSよりも数秒遅れて放送しているのが判る)

(4)リモコンの操作性はやや難あり。
 テレビのリモコンではデジタルBSチューナーの操作がほとんど行えない。当たり前と言えば当たり前だけど、でも、今のワイドテレビはデジタルBSを繋ぐのを前提にしている訳でしょ? だったらもう少しデジタルBSの操作もできるようにして欲しかった。

 特に、チャンネル切り替え操作に問題がある。テレビのリモコンでは地上波チャンネルと従来のBSチャンネルしか回る事ができない。デジタルBSを見たい時には、まずデジタルBSチューナーの電源を入れ、テレビの入力切り替えをして、そしてデジタルBSのリモコンでチャンネル操作をする必要がある。これはかなり面倒くさい。つまりCS受信機と同じで、完全に外部入力ソースという扱いなのだ。

 CSの場合は、放送というよりは配信というイメージで、従来の放送番組とは別扱いでも問題無かったが、BSデジタルは従来の放送番組の延長線上というイメージが強く、上のような切り替え作業が億劫に感じられる。(単に慣れていないだけかも・・・)

 チャンネルの問題はもうひとつある。BSデジタルではテレビ各局3つずつチャンネルを持っている。NHKとWOWOWは3つそれぞれ別の番組を放送しているが、民放各局は3つとも同じ内容を放送しているのが現状だ。だからリモコンのチャンネル上下ボタンでチャンネルを変えると3つ同じ番組が連続しながら切り替わる。これはかなりうざったい。その結果、ダイレクト選局ボタンだけを使う事になる。

 これはBSデジタルチューナー専用のリモコンを使っている分には問題にならないが、他のリモコンでチャンネル操作する際には大きな障害になるのだ。

(6)番組予約機能が無い!
 電子番組表はあるのに番組予約ができない。BSデジタルには電子番組表があるから、CSと同様に番組予約ができる物だとばかり思っていたが、実は予約機能が無いのだった。じゃあ、これっていったい何のための電子番組表なの?(^^;

 録画する事を考えれば番組予約機能が無いのは致命的欠陥だと思うのだが、ソニーともあろうお方がどうしてこんな仕様にしたのか、実に不可解だ。調べてみたところ他社チューナーはだいたい予約できるようになっている。松下のは電子番組表からは予約できないが、別に電子予約表という物(外見は電子番組表とほとんど同じ)があって、そっちで予約するようになっている。これもまた不可解な仕様だ・・・。BSデジタル関係ってまだまだ仕様が練れてない物が目立つ感じだ。システムとして。

(7)その他
 D端子のうたい文句として「ケーブル1本で簡単接続!」というのがあるのだが、実際には音声は従来と同じケーブルで別途接続しなければならない。つまりこの宣伝文句は嘘だと思う。ジャロを呼べ!(^^;

 もうひとつ。BSデジタルのチューナーは電源オンしてから実際に画面が出るまでけっこう長い。約10秒かかる。これがけっこう戸惑う原因になっている。つまり、リモコンで電源オンしても何の反応も無いので、「おや?」と思ってしまう。リモコンが届かなかったのかな?と思ってまた電源ボタンを押して、実はオンしてたのにオフにしたりして・・・(注:実際にはそういう事はありません)。


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