小径自転車
ブリヂストン/モールトン
悩みに悩んだ末に、とうとう買ってしまいました。


【俺と自転車】
 自転車通学・通勤を続けて20有余年。しかし2年おきくらいで自転車を買い換えている俺。ほとんどの場合、盗まれて新しいのに買い換えている。

 マウンテンバイクがまだあまり一般に知られていなかった1980年代前半、わざわざ東京の世田谷(マウンテンバイクで有名な店があった)まで行って10万円以上もするヤツ(マディフォックス)を買ったが、これは1年も経たない内に盗まれちゃった。

 ブリジストンから折りたたみ式のサイクリング車「グランテック」が発表された時には、これも東京の青山の自転車屋で見かけて衝動買いした。こいつでは北海道や広島、京都、四国などあちこちを走り回った。実に良い自転車だと思った。今でも家にあるが最近は全然乗っていない。

 近年はごく普通の通勤通学用の自転車を乗っているが、やっぱりヌルい!

 今乗っている某有名メーカーのヤツ。アルミだから軽いという事だが、まあ、確かに同クラスの物に比べれば軽いけど、絶対値で見れば特別軽いというほどではない。

 ベルト駆動は音が静かで踏み込みが軽いという話だけど、2年ほど乗り続けた感想としては特にそのメリットは感じなかった。むしろマイナス面が我慢できなくなってしまった。

 ベルト式の弱点は、強い踏み込みに対応できないという事だ。発進時、体重を掛けたグイ!という踏み込みをするとベルトが外れてしまう事があって、とても危険なのだ。力を込めて踏み込んでベルトが外れてしまうと、最悪転倒の危険があり、実際これで交通事故になりそうになった事がある。そして一回外れ癖がついてしまうと、後は普通の坂を上る時の踏み込みでも外れてしまうようになるのだった。所詮ベルト式はゆっくり走るヌルい目的にしか使えないようだ。

 というワケで自転車を買い換える事にした俺だが、さてどんな自転車にしようか・・・。


【物欲を直撃する自転車を発見】
 これまで乗った自転車で一番長く愛用したのは丸石自転車の「ベベルテック」。このシリーズはシャフト駆動式の先駆的自転車だ。チェーンが無いのでズボンの裾をギアに巻き込まれるような事が無いのがメリット。また、チェーン外れや、チェーンの錆び等の心配も無い。かなり気に入り、同じ車種を何台も乗り継いだ。でも今の気分としてはもっと凄いヤツに乗ってみたい。

 物色を続けていると、ブリヂストンで変わった自転車を作っている事に気が付いた。

 「ブリヂストン・モールトン」

 タイヤ径が小さく、まるで折り畳み式自転車のような外観。それにしても値段がやけに高い。普通の自転車が何台も買える程だ。何なんだ?これは?

 聞けば、イギリスの「モールトン」と言えばかなり有名な高級自転車なのだとか。その開発者モールトン博士がブリヂストンと協力して作ったこだわりの自転車だという。

 前輪後輪ともサスペンション付き。小径タイヤで、なおかつ通常の2倍以上の圧力の高圧タイヤ。たしかに、タイヤは固い方が走行時のパワーロスが小さくなって走りが良くなるが、ゴツゴツ感も大きくなる。そのゴツゴツ感を前後サスペンションで吸収するという事なのか?

 う〜ん・・・、ほ、欲しいかも(^^;

 でもこんな高価な自転車。これまで何台も盗難で失った俺としては、こんな高価な自転車を買ってていいのだろうか? タイヤが特殊仕様なので、パンクしただけで部品取り寄せになるのでは? そもそも扱っている自転車屋が限られている。一般の通勤通学車はライトが標準装備だが、これにはそんな物ついていない。付けるとしたら電池式のライトだが。電池式だと手間とお金がかかるんだよねえ・・・。

 でも欲しい・・・。ど、ど、どうしよう(^^;;;;;;;;;;;;;;


 後、買うとしてもどこで買うかがけっこう大きな問題。

 扱っている店が限られており、隣り町の自転車店では売っているが販売価格はほぼ定価。しかし通販の中には2割引き程度で売っている所もあるようだ。でもこの手の自転車はアフターサービスも重要だと思うので、安いからと言って通販で買うのもどうかと・・・。う〜ん・・・。


 で・・・、2週間悩みまくった末、結局通販で注文しちゃった。

 近所の自転車屋だとアフターサービスが期待できる・・・という考えもあったけど、これまで買った自転車でそういうアフターサービスを実際に受けた事はあったか?と考えると・・・無いような気がするし。

 でも、いざインターネット通販しようと思うと「今はお盆休みだから、メールを出しても返事は数日後だったりして・・・」とか、「ブラスターウイルスが流行してるから、メールでは連絡つかなかったりして・・・」とか、変に後ろ向きな考えが浮かんでしまって、結局注文を躊躇。(我ながら小心者よのぉ・・・)

 これで天気が晴れていれば、隣町の自転車屋に行って衝動買いしちゃったのかもしれないが、幸か不幸か冷夏で連日の雨。何もしないまま2週間が過ぎたのだった。

 で、この事をニョーボに話したら「何を悩んでいるのよ。好きな方で買えばいいジャン!」と正論を言われてしまい、これに背中を押されて通販に注文したのだった。


 なお、この注文の前に書店で自転車関係の雑誌などを探して、ムックを2冊も買って読んだのだが、趣味の高級自転車って想像以上にいっぱい市販されてるのね。普通の自転車店では売っていないような、個性的で超高級自転車がいっぱい。それこそ「ブリジストン・モールトン」が普通の自転車に見えてしまうような個性的なヤツがいっぱい載ってた。

 そして、「自転車で通勤しよう!」という趣旨の本も買った。自転車で通勤すると、ほら!こんなにオシャレ! あなたの知らない街の一面が見えて楽しいゾ! 自転車通勤で都市を冒険しよう! 私の自転車へのコダワリ! みたいな事がファッション誌のような写真とともに語られていた。さらに、自転車での通勤の事を「ツーキニング」と呼び、「ツーキニングのカリスマ」みたいな人もいるという。

 ・・・・。

 わかるような、わからないような・・・。

 「ツーキニング」という言葉で言うなら、俺はずっとツーキニストだったように思うのだが、そんな格好つけるような事でもないような・・・。

 仕事前にひと汗かいてリフレッシュ・・・て言ったってスーツ姿で汗かいたらその後一日困ると思うし、実際俺も汗の処理にはいつも苦慮してるし。1台何十万円もするような高級自転車でオシャレに通勤しますか?普通。なんか、ウソくさいくないですか?

 ・・・って、俺も今度高級自転車で通勤するんですけどね(^^;;;;;


【来た! 見た! 乗った!】
 そして遂に来た!
 ブリヂストン/モールトン!(右の写真)

 一見今はやりの折りたたみ自転車のように見えるが、折りたたみ式ではない。

 また、今風のカッコつけ自転車の中にはわざと泥よけを付けていない物も見かけるが、街乗り用途でも泥よけは絶対に必要だ。泥よけが無いとちょっとした水たまりを横切っただけで水が背中などに跳ね上がり、カッコつけどころではない。

 その点この自転車は泥よけ標準装備。偉い。(っつーか当然?)

 また、折りたたみ式ではないが、フレームが真ん中から前後に分割できるようになっていて、クルマに積んで運びやすいようになっている。

 右の写真では、ブレーキとギアチェンジ用のワイヤーも途中で分割できるように連結器(緑と赤)で繋がっているのがわかる。

 さっそく乗ってみた。当然だが造りはしっかりしている。高級なパーツを使用しているようだ。

 ママチャリやマウンテンバイクなどとは全く違う乗り心地。例えて言えば、ドロップハンドルのスポーツ車に初めて乗った時のような感じ。つまり、ママチャリに乗り慣れている体だとちょっと怖く感じる。タイヤが小径だからなのかハンドルがフラつきやすく慣れるまでけっこう怖い。以前乗っていたマウンテンバイクで感じた「手放しでも転びそうにない直進安定性」と正反対の特性を持っていると感じる。

 けっこう前傾姿勢になるのでスピードを出しやすい。ママチャリだと登るが辛い坂でもグイグイ登れる。走りの軽さ、踏み込みがダイレクトに加速に反映する軽快感は素晴らしい。なんつーか、ペダルをこいだ力が無駄なく推力になってるという感じだ。

 スピードが出るクルマの割りにはギア比はロー寄りの構成。つまりスピードを出したい時、もっとハイ側のギアが欲しくなる。でも、この自転車でこれ以上スピードが出てしまうとかなり怖いかも・・・とも思う。少なくとも俺の技量ではこのくらいが丁度良い感じだ。

 小径タイヤのメリットとは何か? 別に普通のサイクリング車でもいいのではないか?という疑問もわかない訳ではない。小径車のメリット・・・。う〜ん、たぶん全体のコンパクトさ、重量の軽さ、取り回しの容易さなどが狙いなのではないかなあ? 実際、タイヤが小さい分だけ狭い場所(普通の自転車は置けないような場所)に置けている。

 前輪後輪ともサスペンション有りだけど、乗り心地的にはフワフワした感じは無くて、普通の自転車と特に違いを感じない。路面の凹凸の感覚は普通に感じる。(前輪の付け根は、右の写真のようにまるで飛行機の前輪脚のような構造になっている)

 どちらかと言えばレーサー車に近い乗り心地。安定感よりも走りの軽さを重視している感じ。巡航速度で漕ぎ足がスムーズにクルクル回る(これ大事)。スピードが出る上に車体が軽い(運転姿勢での重心が高い)ので、ママチャリの感覚で急ブレーキをするとひっくり返りそう。

 ハンドルの幅が短くて狭いところを走り抜ける際には便利だが、これも慣れないと怖い。

 自転車本体が小柄なので、乗ってて視界に自分の自転車があまり入らない。すると何だか自転車の存在を忘れ、自分の身体だけが空中をスィーッと飛んでいるような感覚を覚える。これが新鮮な快感。(ちょっと大げさか)

 サドル後方に六角レンチが2本装着されている(右の写真)。フレームを分割する時や、各部の調整に使える。つまり、乗る人が自分で自転車を調整できる事が前提になっているという事ね。

 フレームに小さな三角形を形成している横棒があるが、車体を手で持って運ぶ時ここを持って運べるようになっている。これがけっこう便利。

 一般的な自転車のフロントキャリアー(ハンドル前の荷物置き)はハンドルと同じ向きに向くが、この自転車ではフレーム本体に固定されているため、ハンドルを切ってもキャリアーは動かない。これにはちょっと違和感が・・・。キャリアーに荷物を置く際、ハンドルに荷物が当たる事が多いので、フレーム本体に固定されているとハンドルを切った時に 荷物がハンドルに干渉しそうだ。


【空気入れについて】
 ママチャリだと一生懸命こいでるのになかなかスピードが出なくて疲れるような道でも、この自転車だとスイーッと、「あれ〜?」と驚くほどに軽く走る事ができる。そんなに力を入れてないのにスピードが出るので、まるで背中に羽根が生えたような感じ。これはたぶん、タイヤが高圧タイヤで転がりロスが少ないというのが大きく影響しているのだと思う。

 が、この高圧タイヤが実はくせ者。説明書ではタイヤの空気圧は700kPaにしろという事になっている(わざわざ本体に注意書きパネルが貼ってある)。普通の自転車は300〜500kPaくらいの圧力であって、この700kPaというのはかなりの高圧なのだ。

 ハンドルの下に圧力計付きの小型ポンプ(右の写真)が装着されているのだが、このポンプで700kPaを出すのは常人にはほぼ無理と思われ。(あくまで緊急用という事か・・・)
 仕方が無いので圧力計付きフットポンプを買ってきた(右の写真)。でもこのフットポンプを使っても全体重を掛けて勢いよく踏み込んでやっと700kPaに行くかどうかというくらいなのだ。700kPaとはそのくらいの高圧だ。恐るべし・・・。


【LED式のライト】
 この自転車にはライトが付いていない。通勤で使う場合、夜間走行に困るので電池式のライトを買ってきて付けた。(下の写真)

 以前、マウンテンバイクで通勤していた時にも電池式のライトを使った事があったけど、電池の持ちが悪くてあんまり実用にならなかったという苦い経験がある。

 ところが今では高輝度LEDを使ったライトというのが開発されていて、消費電力が少ないので電池が長持ちするのだという。電池は、以前デジカメ用に買った充電式電池が余っているのでこれを使うつもり。充電式なら経済的だろう。

 まず明るさとしては・・・残念ながら通常のライトに比べると暗いと言わざるを得ない。また、白色光と言っても実際には三原色のLEDを合わせて白く見せているだけなので、青白い感じの冷たい光だ。

 でもそれなりに役に立つ。点滅モードも用意されているから、衝突防止灯としても使える。
[2003/09/08]


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