盗難防止用品
ゴジラロック
ブリヂストン/モールトンを盗まれたらシャレにならないッスよ・・・


 これまで毎回のように自転車を盗まれている俺。

 盗難に遭うと頭に血が上って、無闇に強力な盗難防止用品を購入したくなる。バイク用に販売されている極太のチェーンロックとかね。確かにそういう物は破られ難いはずだが、自転車に使うには重量が重すぎるんだよねえ・・・。それこそチェーンの重量が2kgとか3kgなんて物まである。俺も怒りにまかせてそういう物を買った事があるが、でもそういう物だと重すぎて持ち運びに不便であるため、結局は使わなくなってしまうんだよね。それでは意味が無いという反省があった。

 今回、高級自転車「ブリヂストン/モールトン」を買ってしまった俺としては、盗難対策は買う以前からの最重要課題だった。納品された自転車には最初からワイヤー錠が付属してきたが、ワイヤーは細いし、鍵も俺がピッキングしても開けられそうな低級な物。全く申し訳程度の物だった。(写真、一番右の物)

 なのですぐに、近所の自転車店に行って、売っている中で最も丈夫そうなワイヤー錠を購入し、そっちを使うようにしていたのだった(写真、真ん中の物)。このワイヤー錠。カギがディンプル式になっていて、ピッキングに強いという特長があり、これはこれで悪くない物だと思われた。が、実際に使ってみたら大きな弱点があった。

 ワイヤーの長さが短いのである。この長さは車輪をロックするのには十分な長さだけど、自転車自身を何か固定物に繋ぎ止めておくには短すぎるのだ。自転車用として市販されているワイヤー錠は大抵このくらいの長さだが、みんなこれで十分だと思っているのだろうか?

 これまで盗難に遭った経験から言えば、本気で盗むヤツらは自転車を丸ごとトラックか何かに積み込んで盗んでいると思われる。だから単に車輪をロックしただけでは全然対策にならないのだ。つまり、自転車本体を何か固定物に繋ぎ止めておく必要があるのだ。そして実際に街で自転車を駐輪しようとした場合、この程度の長さだと、ワイヤーが短すぎて繋ぎ止められない場合が意外に多いのだ。だから、同じワイヤー錠でも、ワイヤーの長さがもっと長い必要があるのだ。

 で、色々探し回った結果、バイク用盗難防止用具として有名な「ゴジラロック」シリーズのSGM-201を購入したのだった。(写真、左の太くて赤いヤツ)

 ぶっちゃけた話、堅牢さが売りのゴジラロックと言えどもそれなりの工具を用意すれば切断できるはずであり、「これで絶対に安心」などという事は無いはず。しかし、だからと言って2kgとか3kgもあるような極太チェーンを持ち運ぶわけにも行かない。どこか適当なところで手を打つ必要がある。堅牢さ、ワイヤー錠の重量、ワイヤーの長さ、価格などを総合的に検討した結果、これが俺に一番適していると判断した訳だ。

 まず堅牢さについてだが、(俺は専門家ではないので偉そうな事は言えないが)説明を読んだり評判を聞く限りにおいて、このクラスでは十分に強力だと言えるようだ。少なくとも、人目につかずに短時間で破壊とか、ピッキングできるような物ではないと思われる。

 これの重量は1kg弱。普通の自転車用ワイヤー錠の数倍もの重さだが、自転車に常備できるギリギリの重量と言ったところではないだろうか。「ブリヂストン/モールトン」本体の重量は12kg弱。この車体の軽さが売りのひとつなのに、その防犯用具の重量が1kg以上だとちょっとアレでしょう・・・。

 ワイヤーの長さは約1m。一般的な自転車用ワイヤー錠の約2倍。このくらいの長さがあれば、柱などの固定物に繋ぎ止める事に不自由しないと思われる。(右の写真)

 価格は税込みで5千円弱。一般的な自転車用ワイヤー錠が1千円程度なので、かなり高いという事になるが、今回の場合、守ろうとしている自転車の価格が普通の自転車の何倍もする物なので、むしろもっと金を掛けても良いくらいだ。

 実際に使ってみての不満点は、ちょっと柔軟性に欠けるという事と、ロゴ入りの赤いカバーが施錠時に邪魔になるという点だ。

 柔軟性があまり無いという事については、それはつまり堅牢性が高いという事の裏返しなので我慢できる。

 問題はロゴ入りの赤いカバー。この派手で目立つカバーは「堅牢な事で有名なゴジラロックをしているぞ!」という事をアピールする事によって、盗む気を起こさせないという役目があると思われる。昆虫の警戒色と同じね。

 それは良いのだが、施錠しようとする際、このカバーが包茎チンポの皮みたく「余った」状態になってしまい易く(左の写真)、これが施錠の邪魔になるのだ。
 施錠する時には左の写真のように、包茎状態になったカバーをたくし上げてから施錠しなければならない。しかし片手でカバーをたくし上げるのけっこう難しく、手間取ってしまいがちなのだ。

 また、バイクに使うのであったらこの派手で目立つカバーもなるほど納得という感じなのだが、自転車、それも小径自転車では見る人にどう思われるか?

 小さい自転車なのにこんな大仰なロックを付けてるという事は、この自転車はそれだけ高級車なのか?高価なのか?と逆に宣伝してしまう事になりはしないか? そう考えるとこの赤いカバーはあまり役に立たない? いやむしろ俺の場合には付けない方が良いのではないか?と思うのだった。

 以上のような経緯で、俺はカバーを付けずに使用しているのだった、



 この「ゴジラロック」に代表される堅牢な盗難防止用品は、普通はバイク屋で扱っている物であり、自転車屋ではほとんど扱っていない。なので俺は盗難防止用品を求めて街のバイク屋を回って歩いたのだった。

 そこで聞くところによると、このようなワイヤー錠以外にも、手錠型やリング型の防犯用品があり、それらはワイヤーと違って柔軟性が無い分切断に強く、従って堅牢性はより高いとの事。

 しかしそのような金属ムクで出来たような物は当然ながら重量も重く、柔軟性が無いために柱などへの繋ぎ止めの際の自由度という点では劣ってしまうようだ。

 俺としては手錠型の「ストリート・カフ」という防犯用品に食指がピクピク動きまくったが、扱っている店には出会えず、また、「柱などに繋ぎ止める」という目的にはちょっと向かない形状(手錠の大きさよりも太い柱には繋ぎ止められない)であるという事で、結局見送ったのだった。

 で、ゴジラロック採用の決め手になったのは、実はそのバイク店の店員の対応の熱心さだった。その人はその店の若奥さんらしく、NHK朝の連続テレビ小説に出てくる主人公みたいな、明るくて歯切れの良い人であった。

 その人が「堅牢さで言うとやっぱりこのゴジラロックがお勧めですね」「これには盗難時のお見舞い金制度というのが付いてまして。いえ、金額的にはそんな多くないんですけどね」「これ以上の物となりますと、こちらのズッシリ重い鎖の物になってしまうんですよ」などと熱心に売り込んで来たのだった。

 俺自身、街の商店の息子。秋葉原の電気店で店員をした事もある。その販売経験からも言えるのだが、店員の接客態度の善し悪しが客の購入意欲に大きく影響する。同じ商品でも、あるいは他より少々値段が高くても、「どうせ買うならこの人から買いたいな」と思わせる。そういう売り込みが良い売り込みだ。

 そして、この人の売り込みがそういう売り込みだったのだ。入店時の購入意欲ゲージは10%未満だったのに、この人の熱心さに背中を押され、10分も経たないうちに

 「ふ・・・負けたよ。あんたの勝ちだ。このゴジラロック、買わせて頂きますよ」

 と言ってしまったのだった。

 この人がいる限り、このバイク店は繁盛する。50年後くらいにはこの人の人生を元にしたドラマをNHK朝の連ドラでやってるかも知れないな・・・、などと思った俺だった。


 で、家に帰ってから「盗難時のお見舞い金制度」への登録ハガキを出そうとして、説明文を読んでみたら、このゴジラロックのお見舞い金制度は、自転車には適用されないという事が判明(左の写真)。この制度は電動自転車、およびバイクにのみ適用されるのだという。

 せっかくあの若奥さんの販売トークに押されて買ったのに、商品説明が間違ってるジャン!! この場合は俺か? 俺の負けなのか?・・・(´・ω・`)

[2003/09/28]


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