サンヨー全自動洗濯乾燥機
トップオープンドラム
この洗濯機を使いたいがために「洗濯物はねえがぁ〜?」と家の中を探し回る。
【洗濯機買い換え計画】 我が家の洗濯機の調子が悪い。まあ、メカに詳しい俺でもこれはどうしようも無いので、サービスの人を呼んで修理してもらったのだが、「これ、もう軸が曲がってるみたいなんで、あと2年くらいで使えなくなっちゃいますねぇ」などと言われてしまった。 そしたらニョーボは「えー! まだ2〜3年しか使ってないのに・・・」と不満をこぼした。しかし実際には、その洗濯機は既に7年間も使っている物なのだ。その現実を前に愕然とするニョーボ。そして「ああ、月日の経つのは速いものだなあ」と遠い目になる俺なのだった。 【洗濯機改良の歴史】 俺の個人的な認識では、80年代頃で既に洗濯機の構造や技術なんてものは、とっくに出尽くした感があり、これ以上何か革命的な新展開が有るとは思えなかった。まあ、糸くずフィルターとか、衣類が絡みにくい工夫とか、そういう程度の改良しか残ってないなあと思っていた。(実際には熾烈な開発競争があったのかも知れないけど、これはあくまで私個人の感想という事で・・・) で、その流れが変わったのは日立の「ステンレス槽」の出現だったと思う。従来のプラスチック製の洗濯槽はカビが発生しやすく、長年使っていると洗濯物に黒いカビのカスが付くという問題があった。そこで洗濯槽をステンレス製にする事で、カビが付きにくくなるというワケだ。この洗濯機は従来の物より高価だったけれども大ヒットし、他社もすぐ追従したと記憶している。 その後、超音波洗浄だの、霧洗浄だの、イオン交換水洗浄だの、電解水洗浄だの、各社から次々に新機軸が発表され、「何だよ、まだまだ改良の余地があったんジャン!」と、けっこう新鮮な驚きを与えてくれたのだった。 そして2002年だったかな。俺のオタク心をわしづかみにする洗濯機が登場。サンヨーの縦型ドラム方式洗濯機。「トップオープンドラム」!! 【ドラム式洗濯機】 ヨーロッパ辺りでは、日本と違ってドラム式の洗濯機が主流だという。日本でも業務用の洗濯機はドラム式が普通。コインランドリーに置いてある大型のヤツもドラム式だ。日本でも商品としてけっこう昔から存在はしていたのだが、主流になれなかった。その理由は、ドラム式は筐体が大きくなるため狭い家の多い日本では不利だから、などと言われていた。 しかし90年代後半あたり、あらためてドラム式の洗濯機を売り出すメーカーが出始めた。今我が家にある洗濯機はその当時に買った物だが、その時ドラム式も購入候補として検討したのだった。 が、その時は結局ドラム式は買わなかった。理由は、当時のドラム式洗濯機は洗濯に要する時間が従来の洗濯機に比べて異様に長く、また使用する洗剤もドラム式専用の物が必要とされていたからだった。 その後、ドラム式の長所と縦型槽式の長所を併せ持ったような「斜めドラム式」が出たり、洗剤も通常の物が使えるようになったりと改良が進んだ。そして前述の「縦型ドラム式」が登場。 これを初めて見た時は本当にビックリしたね。斜めドラム式が発表された時にも「その手があったか!!チィぃぃいいいい!!」と(自分が思いつかなかった悔しさ半分で)驚いたけれど、「縦型ドラム式」にはそれ以上のインパクトがあった。 ドラムの向きを変えて、従来からある洗濯槽式と同じような使い勝手を実現させている。ドラム式の長所を生かしつつコンパクト。構造的に合理的だ。 電気店の店頭で現物に触ってみて、 「くっくっくっ・・・やりおったかサンヨーめ・・・ふはひゃはへへ・・・」 「そ、総統!・・・おかしくなられた」 と、ひとりボケひとりツッコミを脳内でかますくらいに驚き興奮した。(あんたの脳内っていったい・・・byニョーボ) この新型洗濯機は従来の洗濯機に比べてかなり高価であったがヒットを飛ばし、当時、経済雑誌でも話題になっていた。 【三洋電機について】 サンヨーあなどり難し。サンヨーって一般的には、松下、ソニー、日立、東芝などに比べて地味な印象を持たれていると思うのだけれど、実は、デジカメ、洗濯機、冷蔵庫、ファンヒーター、太陽電池、充電式電池などの分野では、かなりの実績&技術力を誇っているメーカーだ。 そして、サンヨーは洗濯機に関しては昔からトップメーカーを自負していたというこの事実。日本での主流方式である回転翼式の洗濯機を日本で初めて発売したのがサンヨー。遠心脱水式二槽洗濯機を初めて発売したのもサンヨー。コインランドリー用の洗濯機を初めて出したのも、循環式糸くずフィルターを初めて付けたのも、斜めドラム式もサンヨーなのだった。サンヨーが自社の洗濯機に自信と誇りを持っている事は三洋電機ホームページ上で「洗濯機事業50年の歩み」という特集ページを誇らしげに公開している事からもわかる。 俺、こういう「他の事ならいざ知らず、○○○に関しては誰にも負けねえ!」みたいな話に弱いんですわ。ホント(^_^; てなワケで、もう現物を見るまでもなくサンヨーの縦型ドラム式購入決定か?! この時の最新型は「AWD−B860Z」というヤツで、定価22万5千円だった。一昔前の洗濯機は10万円以下の物が普通だったし、現在でも定価20万円以上の家庭用洗濯機は珍しい(輸入品とか特別な物は除く)。これだけを聞くと異様に高い商品のように思えるけれど、でも実は同クラスの他社製品はみんなオープン価格になっているので比較不能になっているというだけなんだよね。そして家電量販店での実売価格を見ると、松下や東芝の物よりもむしろ安く売られているくらいなのだった。 で、更によく調べてみると、この機種には特別仕様の受注生産バージョンが用意されている事を発見。操作インターフェース部分を改良し、普通はメンブレンスイッチで済ます所を、大きいダイヤル式のスイッチに変更し、なおかつ音声による説明が出るようにしているという。つまり使い易さの部分に金をかけた特別バージョンという事だ。これを通常品より1万円高い定価で期間限定生産していた(注:これは2004年3月で終了)。 俺、こういうのにも弱いのよ(^_^;;;;; ここまでやられちゃったらもうこれを買うしかないジャン。 定価では通常品より1万円高だが、ヨドバシ価格では割引率が異なるため価格差が広がり、その差は2万7千円に。この差額はちょっと大きすぎるような気もするが、うーん、やはり買わざるを得んでしょうな・・・と思って、出張の帰りのついでに駅前のヨドバシに寄り、現物を見てきた。そしたら・・・、ちょっと気に入らない点を発見してしまったのだった。 縦ドラム式はその構造上、蓋が3重構造(ドラム蓋、内蓋、外蓋)になっているため、閉めるのに3アクション必要で、しかもサンヨーの物は開け閉めのメカ部分に一部引っかかりが悪くなる部分があるように感じられた。そしてむしろ、同じ縦ドラム式である東芝の物の方が蓋の開閉が2アクションで行えて無理が無く、使い勝手がスムーズだと感じられたのだった。 また、前述の「特別仕様バージョン」の物も現物を見てみたら、1万円差でこの程度しか違わないの?というのが正直な感想・・・。どうせやるならもっと徹底しないとダメくさいと思った。 後日ニョーボにも見てもらったが、ニョーボの意見としても蓋を閉めるのに3アクション必要なのが面倒くさいとか、どうせ買うなら松下の斜めドラム方式の方が洗濯槽の中が見れるから良いんじゃないの?という意見であり、サンヨー機の「買う買うランク」は一気にランクダウンしてしまったのだった。 【大逆転】 しかしその3ヶ月後(2004年6月)、ヨドバシに行った際、担当店員の話をよくよく聞いてみたら、 「サンヨーさんのは今度新型が出るんですよ!」 「そっちは蓋の構造が改良されていますし、スチーム洗浄という家庭用ドラム式では世界初の機能までついているんですよ!」 との事。 その時店頭には実物大の模型と宣伝パネルしか置いていなかったが、それを見ると確かに蓋の構造が東芝と同じような2アクションで閉められるようになっているようだ。 おお! 俺が不満に思っていた所がキッチリ改善しているじゃないか。しかも業務用洗濯機で使われているスチーム洗浄を家庭用に応用ですか。うむむ、やはりサンヨーあなどりがたし・・・。 更にその店員が言うには、松下の斜めドラム式は他のドラム式に比べると若干洗浄力に劣る点が無きにしもあらず・・・との事。この一言がニョーボに思いのほか効いたらしく、ニョーボも一気にサンヨー側に傾いた。 ![]() はっきり言って値段は高い。似たような洗濯機が12万円くらいで買えるというのに、これは実売で20万円もした。それでも、買うと決めたら絶対に買ってしまうのが黒沢家。ホームページのネタにもなるから一石二鳥でしょ?(本末転倒・・・byニョーボ) 左の写真が納品設置された現物だ。従来の洗濯機とはかなり異なるスタイルが未来的。けっこうかっこいいッス。 |
![]() 蓋を開けるとこんな感じ。 蓋はドラム蓋、内蓋、外蓋の3重構造だが、ドラム蓋と内蓋を同時に閉じられるように改良されたので、旧型に比べて扱いやすくなっている。 |
【実際に使ってみて】 (1)音や振動は従来の洗濯機とそんなに変わらない。いや、むしろ静かだ。 (2)これはドラム式のメリットだから当然だけど、使用する水の量がかなり少ないようだ。 (3)昔のドラム式洗濯機は洗濯にかかる時間が異様に長いというのが弱点だったけど、この洗濯機は従来の洗濯機とそんなに変わらない時間で洗濯できる。 (4)昔のドラム式洗濯機は一般の洗濯洗剤を利用できなかったが、最近のドラム式では普通に使用できる。洗剤の箱にも「ドラム式洗濯機の場合の洗剤量」が記載されていたりする。要するに、使用感覚としては従来の洗濯機とほとんど変わらない。 (5)動作中は何か「ニューン、クリクリ、ウィーン」などと、従来の洗濯音とは異なる音をさせて動作している。これがかなり不思議な感覚。ニョーボは「中でいったい何をしてるんだろうね?」「不思議だねぇ」などと言っていた。また俺は「コインランドリーにある大型全自動洗濯機みたいだなあ」と思った。単純にグリングリン回転している訳ではなくて、何かインテリジェントに色々やっているようなのだ。ここら辺がメカおたく心をくすぐる。 (6)洗い上がりの絶対的な質や、スチーム洗浄の効果の程は、直接比較する物が無いので何とも言えない。が、当然の事ながら奇麗に洗濯できている。今のところ洗い上がりに全く不満は無い。むしろ、従来の洗濯機にあった洗濯物の「絡み合い」がほとんど無く、仕上がりにシワが少ない点に感心した。 (7)最近の洗濯機は多機能で色々な事ができるようになっているため操作方法が難しくなりがちだが、想像していたよりはスムーズに使い始められた。現在どの行程を実行中なのか判るようになっている点に好感が持てた。 (8)この手の毎日使う家電品は、スペックとしての性能よりも、長年使っている内の故障の少なさやメンテナンスの簡単さの方が重要だったりする。洗濯機の「顧客満足度」は、故障の少なさとか、サービスマンの対応の良し悪しで大きく左右されると思われる。なので、ここでは何とも言えない。今はただ、長く使える事を祈るのみだ。 【というワケで】 値段は高かったけれど、「最新鋭の洗濯機だぜ!」という気分は満喫できた。 今後の洗濯機に望む改良点としては、投入する洗剤を自動計量してくれる機能が欲しいねえ。今の洗濯機は必要な洗剤量を表示する所までは自動的にやってくれるけれど、洗剤を計って投入するのは人間がやらなければならない。これがけっこう面倒に感じられる。 ![]() というワケで、ここまで洗濯機が全自動化したのであれば、この際、洗剤の計量〜投入まで自動で行って欲しい。あらかじめ洗剤をホッパーに入れておいて、洗濯開始時に自動的に計量投入するようなシステムは作る気になれば作れるはず。次の買い換え時期までに是非! 【追記】 2007年1月。購入から2年半目における報告をします。 まず今言える事は、現在まで大きな不満無く使えています。(小さな不満はあります) ライバルとなる他社の洗濯機と使い比べていないので何とも言えませんが、少なくとも、これの前に使っていた従来型の洗濯機よりは明らかに良く、「買って良かった」と思いました。 ただ、これの購入後、洗濯機のデザインが、ナショナルが出していた斜めドラム前面丸窓扉型の方に一気に流れてしまったので、今後トップオープンドラム型の洗濯機が登場する事は無いでしょう。同じ方式を出していた東芝や、サンヨー自身も前面丸扉型に変わってしまいましたからね。洗っている様子が全く見えないトップオープンドラムよりも、中の様子が見える前面丸窓式の方が安心感というか、何となく良いような気がするのは私にも解ります。 ドラム式の使い勝手上のデメリットとしては、「蓋を閉じ、いったん運転を開始してしまうと、途中で蓋を開けられない」という事があります。昔からあるタイプの洗濯機に慣れていると、この点にちょっと不便さを感じます。まあ、この点は構造上仕方の無い事だと割り切るしかありません。 しかし、我が家で長く使ってみて判った本機の弱点は、それとは別の所にありました。 それは風呂から水を吸い上げる機構です。 本機の前に使っていたシャープの洗濯機では、風呂水ホースを風呂の床に置けば、ホース内の水が自然に流れ出てホース内はカラになりました。しかし本機では、ホースを風呂の床に置いてもホース内の水が流れ出ないのです。(中の水を抜くにはホースを吸水口から抜かないといけない) このため、ホース内に風呂の水が長期間とどまる事になり、そのまま使い続けているとホース内部に青い藻のような汚れ(お風呂の蓋に発生する青いヤツ)が発生します。そしてこの汚れが時々剥がれて洗濯機に吸い込まれるのです。 ただし洗濯機側の吸水口にフィルターが仕込んであるので、洗濯物にこの汚れが付くという事は無いです。問題なのは、長く使っているうちに、フィルターにこの青い藻のような物が溜まって目詰まりを起こし、風呂水が吸い込めなくなってしまう事なのです。 このフィルターは自分で取り出して洗えるようになっているので、時々外して掃除してやれば問題無いのですが、以前に使っていたシャープ機ではこのような問題が無かっただけに、残念感はぬぐえませんでした。 ちなみに、後で知ったのですが、トップオープンドラム方式はヨーロッパでは以前からあった方式だそうで、サンヨーの物が世界初というワケではないそうです。 【追記2】 2009年9月現在、毎日普通に稼働してはいますが、メーカーからリコール告知が。買ってからこれで3度目なんじゃないの?リコール。ちょっと、しっかりしてよ〜という感じ(-_-; |
[2004/07/09] 追記[2007/01/24] 追記[2009/09/26] |