ソニーのヘッドホン
MDR−SA5000
高級ヘッドホンをウォークマンに繋ぐとどんな音がするのか?


【もっと良い音で聴きたい】
 俺は寝る際にヘッドホンで音楽を聴きながら寝るのが習慣になっている。プレーヤーはウォークマン NW-E507(フラッシュメモリー型の初代? 容量1GB)だ。

 このウォークマンはバッテリーの持ちが非常に良く、購入からほぼ丸2年使っているが、一度もバッテリー切れになった事が無い。かけっぱなしで寝ても、全然OKなのだ。

 でだ、最近になって何だかとってもヘッドホンの音質が気になってきたのだ。もっと良い音が出せるんじゃないか・・・ってね。どうせエンコードは ATRAC3(132kbps) だから音質はたかが知れているとも思うが、それにしたってもうちょっと高音質にできるんじゃないか?と。

 今使っているヘッドホンは、もう20年以上前に買ったパイオニア製だ。さすがに、3千円程度で買えるバーチカル型ヘッドホンなんかよりは良い音を出すが、いかんせん、もう寿命っぽい。何だか、すり減って角が丸くなってしまった古い家具を連想させるような音になってしまっている。こうなったらヘッドホンも新しくしようと決意。

 普通、ウォークマン用のヘッドホンはアウトドア用の物を選ぶが、今回は寝る際に使いたいので、インドア用でもOK。っつーか、インドア用の方が高級品を選べるからむしろ望む所だ。

 で、高級ヘッドホンをザッと調べてみた。

 ゼンハイザー、AKG、オーディオテクニカ・・・色々評判を調べてみたのだが、正直言ってよくわからん(^_^;

 で、丁度この次の日に発売予定という、デノンの最高級ヘッドホンが検索に引っかかったので、「えいや!」という気分でこれを買いにヨドバシに出かけた。(音にこだわるとか言っている割に、ずいぶんとテキトーな決め方ですこと!byニョーボ)

 が、いくら探しても目的のヘッドホンが見当たらない。店員に頼んで探してもらった結果、発売が延期になったとの事。

 仕方がないので他の高級機種を物色したのだが、ヨドバシでも高級機種はそんなに揃えていないようで、AKGの K530 とか、ソニーの MDR-CD900ST や MDR-Z900HD くらいしか無いっぽい。

 AKGのヘッドホンも評判は良いらしいけど衝動買いするほどには思い入れ無いし、ソニーの MDR-CD900ST はプロも使っている定番品という事だが、同じくらいの値段の MDR-Z900HD とどう違うのかがよくわからない。という訳で、この日は家に引き揚げ、改めて検討し直す事にした。


【クオリアの跡を継ぐもの】
 家に帰って、改めて高級ヘッドホンを検索した所、ソニーには前出の2機種以外にSACD対応をうたった5万円超クラスの高級機種があるという事を発見。その名は MDR-SA5000。「もしかして、実はこれがソニーの最高機種?」と、今さら驚く俺。

 そう言われてみると、「クオリア」シリーズにこれに似たヘッドホンがあったような気がする。「クオリア」のヘッドホンは2004年7月受注開始。MDR-SA5000 は同年12月発売。値段的には20万円も違うが、外見的にけっこう似ていて、技術的にも同じものが使われているっぽい。

 これの仕様上の弱点としては、一般のヘッドホンはプラグがミニプラグになっているのが普通だが、こいつは太い標準プラグなのだ。ウォークマンに繋ごうと思ったら「標準→ミニ」の変換プラグを用意しないといけない。これはかなり「オーディオバカ」な仕様になっている臭いがぷんぷんするぞ。(口元が思わずニヤリと・・・)

 買うならこれか? これなのか?

 でもこれをウォークマンに繋ぐと、ウォークマンの方が負けねぇか? それって何だかバカみたい?

 う〜ん・・・。



 「敢えてバカに成り切る!」

 気が付いたら、例によってソニースタイルの決裁ボタンが押されていた。

 で、数日後ヘッドホンが届けられた。

 左の写真は付属の専用台にセットした所。

 マグネシウム合金で作ってあるため重量が軽く、耳を覆うパッドも優しく、長くかぶっていても疲れにくい。仕上げが綺麗で全体に高級感が漂う。

 遮音性はほとんど無いので、近くの人にもジャンジャン音が聞こえてしまう。あくまでも室内用のヘッドホンだ。

 ケーブルの表皮は布で仕上げてあるため絡みにくく扱いやすい。
  さっそくウォークマンに繋いでみた。

 プラグ変換アダプタを介してウォークマン E-507 に繋ぐと左のようになる。

 やっぱりアホっぽい・・・。

 では、リスニング開始。

 「・・・・・・」



 「はうあっ!!(゚ε゜;)」

 ATRAC3(132kbps) でも、E507 でも、こんな音が出せたのか・・・。

 今まで聞こえていなかった音が聞こえる。なんつーか、かかっていたモヤが晴れたような、透き通った感じ。音が澄んでいるので、ついつい音量を大きくしてしまう。高音はキラキラはじけ飛び、低音はフロアスピーカーのように地をはう。ボーカルが艶っぽい。

 「そうかぁ・・・。高いヘッドホンはこういう音なのか・・・」

 最初は、いくらヘッドホンの性能が良くたって繋ぐ相手がウォークマン、それも非可逆圧縮した音楽データじゃあたかが知れてる、とあんまり期待していなかったのだけど、目が覚めるような高音質でビックリした。(それまで使っていたヘッドホンの音がひどかったからなのかも?)

 例えて言えば、俺自慢のステレオ(サンスイ07アニバーサリー&ダイヤトーンA3)で聴く音質を、そのままヘッドホンで聴けるような感じ? まあ、全く不満が無いかと言われれば些細な点で少々あるけど、全体的には「素晴らしい」の一言。あんまり嬉しいんで、何度も何度も聴き直してしまった。

 1万円前後のヘッドホンでもかなり良い音がするのだけれど、ほんのちょっとした差、歌手の吐く息の流れる音とか、残響音の艶やかさとか、で高級と中級が分かれているように思う。そのちょっとした差が実は大きいんだな〜。

 これで音楽で聴きながら寝るのが新しい習慣になったが、外に漏れる音が大きいので隣で寝ているニョーボにはすこぶる不評だ・・・。

[2007/3/17]


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