南部煎餅食べ比べ
お盆なので田舎特集〜


【南部煎餅】
 南部煎餅と言えば旧南部藩(現在の岩手県および青森県東部)の城下町である盛岡が本家かと思いきや、実は岩手県北部(一戸〜二戸)から青森県東部(三戸〜八戸)辺り、いわゆる三八上北地方(さんぱちかみきたちほう)の方が盛んらしい。(この地方は南部家の元々の拠点があった地方である)

 そのせいなのか、南部煎餅に「岩手名物」と銘打つ所もあれば、「一戸名物」、「二戸名物」、「八戸名物」などと書いている所もあり、肩書きはバラバラである。

 この手の煎餅は、昔は各家で作っていた家庭料理の類だったそうで、今でも家族だけでやっているような小さな煎餅屋が存在する。それだけにその商品内容は実に素朴。

 大手煎餅会社が工場で作っている南部煎餅は、ピーナッツを入れたり、イカを乗せたり、色々バリエーションを増やしているが、本来の南部煎餅はゴマ、あるいはクルミを入れた物が基本。と言うか、それしか無いのが普通だ。

 だから醤油味や塩味の煎餅に慣れている人にはちょっと物足りなく感じられるかも知れない。が、この素朴さこそが飽きが来ない南部煎餅の魅力なのだ。(でも私はイカが乗ってるヤツが好きbyニョーボ)

 で、先日墓参りで帰省した際に物産品店で発見し、買いこんで来た地元の煎餅屋4店の南部煎餅を食べ比べてみた。



 私の田舎では小松煎餅(巖手屋)志賀煎餅が大手で、お土産屋に限らず、ネット通販でも買う事ができる。が、今回はそれらを除外。これらはいつでも買う事ができるからだ。

 今回買ってきた煎餅は、個人経営、小規模経営の煎餅屋で、親父さんやお母さんらが一枚一枚手焼きしているような煎餅である(と想像される)。そういう店の煎餅は、意外に地元でもなかなか買えない物なのだ。

 さっそく食べてみた。

 まずは根城さんの煎餅から。

 バリッバリッ。

 うむ。この堅さが南部煎餅だ。美味しい。
 さて次は藤原さんのを・・・バリバリッ。

 ふぅ〜む・・・。
 次は大村さん・・・バリッバリッ。
 最後は小笠原さんか・・・バリッバリッ。

 ・・・ん〜〜〜、何と言いましょうかぁ・・・。その・・・、あんまり違いがありません(^_^;;;;;;

 堅さとか香ばしさとかが違うと言えば違うのだけど、その差は微妙で、基本的にはほとんど一緒(苦笑)。本当に素朴な食べ物なので、差が出にくいのかも知れない。

 というワケで、どこの店のを食べても美味しい!という結論になりました。めでたし、めでたし。


(追記1)
 南部煎餅と言えば、上記のように厚くて硬く、バリッバリッと割ってから食べるのが普通だ。

 が、中には通称「うすせんべ」(薄い煎餅という意味)と呼ばれる、別種が存在する。これは、私が知っている限りでは、二戸地方の特産品っぽい。

 「うすせんべ」は薄いために口当たりが軽く、ゴマの他にクルミが入っているのがスタンダードだ。厚い南部煎餅も好きだが、個人的にはこっちの方が好みだ。

 なお、その薄さゆえ、2枚の間にハチミツなどをはさんでゴーフルのようにして食べる食べ方もある。


(追記2)
 これら南部煎餅を焼く際に、型からはみ出た部分だけを集めて「せんべのみみ(煎餅の耳)」という名前で売っている。(昔は1枚1枚、煎餅屋の婆さんが和鋏で切り落としていたが、今はどうやって切っているのだろうか?)

 厚い南部煎餅の耳と、前述の「うすせんべ」の耳とでは歯ごたえが全く異なる。(「うすせんべ」の耳の方がサクサクした軽い歯ごたえで美味しい)

 また、歯が折れるかと思うほど異様に硬い耳もあれば、濡れ煎餅のようにフニャフニャな耳もあるといった具合で、作っている煎餅店によってかなりの個性がある。

 小規模経営の煎餅店の煎餅は、それを扱っている店が限定されているため、自分の好みにあった耳に出会い、それを確保するのはかなり難しい事である。

 今では大手煎餅店が、耳を独立した商品(例えば巖手屋の「がんこみみ」)として販売しているので、それで良ければ比較的簡単に手に入れる事ができる。(耳だけを作る方法がある、との情報も)

 昔は(今でも?)副産物的な存在であったため、入荷が不定期だったり、入荷数が少なかったりして、お店で売っている所に出会える確率が低い商品であった。

 そのような煎餅を扱ってる商店のバカ息子であった私は、自分の好みの耳が入荷すると、店に陳列される前に独占し、全部ひとりで食べてしまうという、トンデモない子供であった。・・・どうもすみませんm(_ _)m懺悔。

 ニョーボ「・・・・・・( ´ _ゝ`)」

[2007/8/11]


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