パソコンを百科事典にする
実は、暇な時に百科事典をパラパラ読むのが好きです。
【百科事典】 百科事典・・・。パソコンなんて遠い未来の話だと思ってた昔は、一家に一揃い、大なり小なり百科事典があったよね・・・。ウチにはあったよ。全8巻くらいのヤツが。 平凡社の「世界大百科事典」全33巻なんてのは金持ちのステータスシンボルだったよね。 あと、英語版のブリタニカ大百科全××巻セットを売り込むセールスマンが家にやって来て、夜まで何時間も延々説明しまくり、親が根負けして買いそうになった事件もあったな。 もしそれが日本語版だったとしても相当高価な買い物になっただろうし、ましてや英語版だから・・・。これは当時「ブリタニカ商法」として社会問題になったそうな。 さて、そんな昔話はさておき、最近は何か調べ物をしたい時、ウェブ上の百科事典「ウィキペディア」で検索するのが当たり前になってきている。 これは誰でも自由に書き込める事から、非常に趣味的な、普通の百科事典には絶対に載らないようなオタッキーな事柄が細かく説明されていて、しかも情報が常に新しいのでとっても便利だ。 だがその反面、書き手に都合の良い記事も書き込めるため、その情報の信憑性が怪しい項目もあるという。なので、情報に責任を持たないといけない文章を書く際にはあんまり頼りにならないのだった。 という訳で、パソコン用に電子化した、本物の百科事典を買おうかなと、ちょっと調査してみた。 まず百科事典と言えば、世界的には「ブリタニカ国際大百科事典」。日本では平凡社の「世界大百科事典」を抜きには語れないだろう。これらを電子化した物は既に発売されていて、値段もそんなに高くない。(平凡社の電子版は、発売当初はけっこう高かったように覚えているが、ブリタニカがネット上で使えるサービスを始めた辺りから値段が安くなったように記憶している。が、定かではない) 「平凡社世界大百科事典第2版」(約8万3千項目、2007年発売、税込18900円) 「ブリタニカ国際大百科事典・小項目版」(約13万8千項目、2007年発売、税込15540円) 他には「小学館スーパーニッポニカ」というのもある。(約13万項目、2004年発売、税込40950円) ポプラ社が出している「ポプラディア」という物もあるが、これは小学生向けだ。 パソコン専用に作られた百科事典ソフトと言えば、マイクロソフトの「エンカルタ」が有名で、俺は1999年版を買って持っている。毎年新版が出ていて、見た目が派手だが、俺の印象としては、イマイチ内容が少ないなぁ〜、という印象だった。 この手のソフトって、マルチメディアの特性を生かそうとして、「鳥の声が聴ける」とか「動画が見れる」とかを前面に押し出しているけど、実際にはそんなのはあんまり使わないんだよなぁ。やっぱ基本は文字情報だ。 で、アマゾンなどで値段を調べてみたら、平凡社のは品切れ入荷未定。小学館のは扱い無し。あんまり売れないのだろう。ところが、日立と平凡社が組んで設立した会社(現在は、平凡社は手を引いた?)が運営している百科事典類の専用サイトがあって、そこでは「平凡社世界大百科」「ブリタニカ大百科」「小学館スーパーニッポニカ」の3点をセットで税込49350円で売っているという事を発見。個別に買うよりかなり安いので、ここで買うのが良さ気という結論になった。 で、さっそく「平凡社世界大百科事典第2版」と、「ブリタニカ国際大百科事典・小項目版」を購入し、使ってみたよ。 「平凡社世界大百科事典第2版」 スタートページがいきなり「あいうえお・・・」と50音のボタンがズラーっと並んだ画面が表示され、「ええ!? 今どき50音ボタンですか?!」と、そのレトロ感覚に大いに驚かされる。(下の写真) ![]() |
これはキーボードで日本語入力するのに慣れていない人の為に考えられた物だと思うが、今どきこの50音ボタンを使わなければならない人は希だろう。(マウス操作だけで使える、という点を重視したのかな?) ![]() ウィンドウはMDI形式、つまり百科事典ウィンドウ(親ウィンドウ)の中に記事ウィンドウ(子ウィンドウ)を複数開けるタイプ。検索履歴が残らないシステムであるため、子ウィンドウを複数開けるようにしたのかもしれない。 このようにシステム的にはちょっとぎこちなさを感じるが、収録されている記事ひとつひとつの分量はかなりのボリウムがある。 ブリタニカでは1記事1ページ程度の事柄が、平凡社では10〜20ページにも渡って記述されていたりして、その物量に圧倒される。さすが「大百科」の面目躍如と言った所だ。 また、リンクについては、本文記事中のリンクもあるが、これとは別ウィンドウで「関連項目」の一覧が表示されるようになっており、そこからリンク先に飛べるようになっている。これは意外に便利だと思った。 「ブリタニカ国際大百科事典・小項目版」 ウィキペディアのように、トップメニューに「今日起こった(歴史的な)出来事」「今日生まれた人物」「自然」「人物」「美術」など、トピックが表示され、特に調べ物が無くても、知的好奇心から読みに入れるようになっている。(下の写真) ![]() |
また、「ランダム表示」という、ウィキペディアの「おまかせ表示」に当たる機能も持っている。 記事は普通のハイパーテキスト形式で、リンクがある単語をクリックすると参照先に飛ぶというスタンダードな物。ウィンドウはSDI形式(子ウィンドウが無いタイプ)。 また、ウェブブラウザのように、以前表示した履歴を覚えていて、「前のページに戻る」が使えるのは便利(ていうか当然?)。 ただしひとつの記事の分量があまり多くなく、少々物足りない感じがする。ここら辺は、あくまで「小項目版」だからなのかもしれない。 あと、初期設定だと本文のフォントが、読むのに支障が出るほど小さい物となっている。このためフォントのポイントを大きく設定し直さなければならないのだが、この点はどうにかならなかったのだろうか? 【結論】 という訳で、百科事典としての読み応え、満足度としては「平凡社世界大百科事典第2版」の方が高いというのが私の結論。「ブリタニカ国際大百科事典・小項目版」の方は、もしかしたら「エンカルタ」に負けてしまうかも知れない。 【検索結果の順番問題】 ![]() 読み仮名の「きん」で探すと「金(Gold)」が引っかかるのに、これが「金」での検索には引っかからないようなのだ。(今さらだけど、読み仮名で検索できるのは便利な機能だ) 「銀」で検索した場合、「銀(Silver)」の順位は第5位で、順位第1位は「銀杏足膳」だった。 どうして「金」や「銀」など1文字の言葉が順位第1位にならないのか? あるいは検索に引っかからないのか? どうにも納得できない。バグですか? この検索結果の順番問題はブリタニカにも同様に存在し、やはり読み仮名での検索で解決できた。 |
[2007/10/05] |