こんな本、買ってきました
(1997年以前)


「東京トホホ会」
 この本によると人間は「普通の人」「オタク」「トホホ者」の3つに分類できるという。トホホ者とは、知識の無さも物ともせず高度な物に挑戦し、しかしやはり知識不足や気の弱さ、優柔不断さ、運の悪さなどのためにマヌケな失敗をしてしまう人だ。

 例えば・・・
 パソコン購入時、取説などは読まずに取りあえず動かしてみる。しかもすぐに工場出荷状態のままで使い続ける事に我慢ができなくなり、聞きかじった情報をもとにハードやソフトを改造しようとする旺盛なチャレンジャー魂。(無謀とも言う)

 その結果、やればやるほど状況は悪化し、取り返しのつかない事態に陥ってしまっても、あくまで自力解決を目指す。(本当は恥ずかしくて人に聞けないだけ)

 パソコン本体や周辺機器、あるいはソフトを購入しようという時、ついつい目先のエサに釣られたり、気の迷いや知識不足から、いつもハズした物を買ってしまう。(不運なのか、先見性の無さか)

 変な物をつかまされて一度は後悔するものの、どこか良い所を発見して「ここが良いから、まあ良かったかな?」などと自己弁護して、勝手に納得してしまう。(お人よし)

 MS−DOSやWindowsがうまく動作せず、何度も何度もインストールし直した事がある。しかしトラブルで苦しんでも、なぜかメーカーのサポートには決して頼らない。たまにインストールが1発で成功すると、なぜか不安でたまらない。・・・などなど。

 私にも思い当たる所が・・・。東京トホホ会は現在でも「週刊アスキー」で連載中。


「東大オタク学講座」
 オタクの王様「オタキング」を自称する岡田斗司夫氏が東大で行ったオタク文化論ゼミの記録。色々な人がゲスト出演している。読みやすくて面白い。意外に勉強にもなる(失礼)。


「オタク学入門」
 岡田氏が東大の「オタク文化論」ゼミで使用していたテキスト。内容は、オタクの歴史、オタクパワーの実例、オタクの「粋」「通」とは、などなど、本物のオタクじゃなければ書けないとても濃い内容で、しかもとてもくだけている。いっぱしのオタクだったらかなり楽しく読める事うけあいの、お勧めの一冊だ。

 「オタク学入門」の結論の一つに、オタク文化は日本独自の庶民文化の流れをくんでおり、その正統継承者だ‥‥みたいな事が書いてある。その論理を読むと「ほほう」と感心するような、なかなか深い物がある。

 オタクが普通の人から、「いい歳して、子供番組ばかり見て、変だ」とか、「30にもなって、おもちゃを集めて、おかしいんじゃない?」とか、ひやかされた時、反論として自前の「オタク論」を一席ぶつ人はこれまでも居たと思う。

 私も少しはそういうのを考えていた。しかし普通、そういうのを言っても、屁理屈をこねているとしか思われないよね?(言ってる本人ですら、屁理屈っぽいなと感じながら言っているんじゃないか?)

 そういう理論を、非常勤とはいえ東大講師が、それなりの実績を背景にして発表すると、これが凄く説得力があるんだわ。こういう理論を東大のゼミで講義してるのかと思うと、なんだが嬉しいような悲しいような、ちょっと恐いような気もする(^^;

 ところでこの本で読んでちょっとショックだったのが、「オタク」という単語はNHKでは放送禁止用語なのだそうだ(現在はどうなのか不明)。岡田氏は以前NHKの番組に出演した時に、自分の事を「オタク」と言いたかったのに言えなかったらしい。放送禁止っていう事は「オタク」が差別用語って事なのかなぁ? どちらかと言えば侮蔑用語だと思うが、まあいずれにしろNHKは「オタク」が差別か侮蔑の対象であると認識しているわけだ。何だか「あなたがたは差別侮蔑の対象である事が認定されました」って公言されたみたいで、気分悪いなぁ(-_-;


「オタクアミーゴス!」
 オタキング岡田氏をはじめとする日本を代表するオタク3人が漫才トリオ風に語りまくる。「俺もけっこうオタク歴長いけど、これは知らなかったなぁ」と、思わず唸ってしまうような濃いネタが満載。

 主に、海外のオタッキーな番組や映画、同人誌などを取り上げているが、日本の物でも、もう誰も覚えてない、あるいは最初から話題にならなかったようなドマイナーなアニメや実写やマンガを発掘して紹介。そういえば、昔こんなのがあったような気がするなぁ。え!あれってこんな凄い(変な)話だったのか!?という感じ。一見の価値あり。


「コミック ゴン!(第1号)」
 一見マンガ雑誌みたいだけどムックらしい。内容はマンガ関係の色々な事がギッシリ。小さい活字でビッシリ。ファンロードとかOUTとかに近いノリだ。この密度で440円は安い! しかし第2号は出るのだろうか・・・(と心配していたら、ちゃんと出た)


「安藤広重・江戸名所百景」
 広重が描いた江戸の名所百ヶ所の版画を基に、今の地図と当時の地図を参照して解説している。例えば品川が江戸時代にはどういう所だったのかという事がわかって楽しい。時代背景の解説も詳しい。

 佃島は、大坂の陣の時家康に協力してくれた大坂の漁民の恩に報いるために、家康が呼び寄せて住まわせた所で、今住んでいる人はその子孫だとか。深川は、昔は見渡す限りの原野だったが、家康が深川という人に「ここを開拓して自分の名前の付けた村を作れ」と命じて開拓させたとか。

「安藤広重・東海道五十三次」
 同じく、有名な東海道五十三次の版画を基に、今の地図と当時の地図を参照して詳しく解説している。広重の東海道五十三次の版画は、実は3度描かれていて、つまりひとつの宿場に3つの絵があるのだ。この本では全部の版画を網羅していて、画集としても楽しめる。当時の風俗に関する解説も親切だ。


「空想美少女読本」
 宝島別冊シリーズ。古今のアニメやゲームの美少女(大人の女性も含む)を集めて解説した本。ゲームキャラまで網羅したのは(この当時としては)珍しい。


「カールセーガン・科学と悪霊を語る」
 アメリカの宇宙探査計画に大きな貢献をしたセーガン博士(故人)の最後の本。世の中にはびこる無責任でいい加減な偽科学本や幽霊UFOなどの本を徹底的に叩いた本。日本の某O教授と違って、さすがセーガン博士はスマートだ。その知識の広さ深さには感心させられる。


「日本特撮・幻想映画全集」
 戦後日本の特撮・幻想映画、全603作品を紹介した本。1948年の「春爛漫狸祭」から1996年の「モスラ(新)」まで。東映まんがまつり恒例の戦隊シリーズの映画版から、「大感傷仮面」とか「月より帰る」みたいな超マイナー映画、さらには「くノ一忍法帖シリーズ」などのポルノ映画まで網羅している。

 しかしあの「地球防衛少女イコちゃん」が載っていないのは、ビデオ作品だからか? ちょっと納得がいかない。


「ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙」
 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した宇宙の写真をたくさん掲載した本。革命的に鮮明な宇宙映像に思わず見とれてしまう。ああ、気分は2001年宇宙の旅のボーマン船長。


「子どものための哲学対話」永井均 著
 ニョーボが見つけて買ってきた本。一見教育的な本と思いきや、内容はかなり刺激的だ。

 全ページ、常識的な子供「ぼく」と、哲学的な猫「ペネトレ」との奇妙な会話から成っている。ペネトレは変な理屈を展開して、「友達はいらない!」とか「地球は丸くない!」とか「困っている人を助けてはいけない!」とか、非常識な結論を導くのだ。

 「ぼく」は常識的な意見を述べるが、ペネトレの意見があまりに強烈なので主役は完全にペネトレだ。たしかにペネトレの意見には一理ある。う〜ん、と唸ってしまうような鋭い指摘がある。しかしこんなの読んで育ったら、ひねくれた嫌な子供になってしまいそうだなあ(苦笑)。子供だけでなく、大人にもお勧めできる本だ。


「フッ完全おたくマニュアル」 ワニブックス
 文化放送(ラジオ)の土曜深夜は声優系のオタッキーな番組が目白押しなので有名だが、それのディレクターをやってるオタッキー佐々木という人もその名の通り筋金入りのオタクで、これはその人が書いた本だ。

 読んでみるとこれが面白い。オタクの血が少しでも入っている人なら思わずニンマリしてしまう事うけあいだ。オタクが書いた本にありがちな、変に理屈をこねるような所が無くて、素直にオタク万歳って感じなのが良い。


「ブレインズ」
 コンピューターを発明した人達の伝記マンガ。

 一番最初の人は「解析機関」を作ったバベッジ(1830年頃のイギリス)。
 電気すら無かった当時、既に基本的なアイデアは100年後に完成したツーゼのZシリーズとほとんど同じであったという。まさに早すぎた天才である。

 そして1940年代初頭。ほとんど同時期に、しかしそれぞれ独立にプログラム制御デジタルコンピューターを作った人達。
 「コロッサス」のアラン・チューリング(イギリス)
 「Z3」のコンラート・ツーゼ(ドイツ)
 「ABC」のジョン・アタナソフ(アメリカ)

 規模ではコロッサスが一番。これは軍事目的だったので、予算と人材が豊富だった。規模が大きいのは当然と言えば当然。実際にナチスドイツの暗号を解読するのに活躍し、連合軍の勝利に貢献したという。しかしそれ故にその存在は長い間極秘とされ、先駆者の栄光に浴する事は無かったという。

 一方、Z3とABCは個人的動機で考案され、2〜3人で作られている点が驚異的だ。しかしこれらは戦争の混乱と、個人製作であるが故に一般に知られる事はほとんど無く、彼らの業績が知られるようになったのはずっと後の事だったという。

 私が子供頃は、世界初のコンピューターはアメリカのENIACという事になっていた。しかし今ではZ3やABCが世界初の名誉を回復している。この本を読む限りではツーゼのZ3が最も早く、完成度も高かったようだ。


「フィギュア帝国」
 最近、フィギュア(非ガレージキット)を特集した本がけっこう目につく。しかし読んでみるとスターウォーズとかアメコミヒーローとかスタートレックとか、アメリカのキャラクター人形ばかりを取り上げ、素晴らしいとか、骨董品として価値が高いみたいに書いている。

 まあアメリカ人にとってはそうなんだろうけど、日本人としてはそういうのを集めて喜んでいる人は実際にはあんまり多くないと思うのよね。そういう本はどうも胡散臭いと感じてしまうワケ。日本人ならやっぱりウルトラ怪獣のソフビ人形とか、ミクロマンとか変身サイボーグ1号とかの方が思い入れがあるはず。

 そんな時、白夜書房から「フィギュア帝国」というムックが発売された。この本、一見上述の人形本のようだが、読んでみると全然次元が違う。まず扱っているキャラクターが全部日本の物だ。ウルトラ怪獣、超合金シリーズ、変身サイボーグ、駄菓子屋の怪獣ブロマイドなどなど。そしてそのコメントがやたらに濃い。どうしてそんな事まで知っているの!?と思うような細かい事まで書いている。これを書いた人間はただ者ではない!

 で、そういうおもちゃ系の本かと思いきや、最後のページあたりで突然レインボーマン全話ダイジェストとか、ダイヤモンドアイ、コンドールマンの主題歌歌詞とかが載っている。どういう脈絡なんだ?(^^;
 脈絡はわからないが、レインボーマンの凄さをみごとに再現していて、思わず感動してしまった。やっぱりレインボーマンは良い! おそらくこれを書いた人もレインボーマンの凄さを書きたくて書きたくてしょうがなかったんだろう。

 「フィギュア帝国2」という続編もある。さすがに前作ほどのパワーは無いものの、 あの異様に濃いノリは健在。特にパチ物ネタ(子供のおもちゃなどありがちなニセ物)が笑わせてくれる。「ミラーマン」のパチ物で「ニラーマン」というのには大爆笑だ。それにしても、こんな物まで収集しているコレクターっていったい・・・。


「やなせたかしの世界」
 アンパンマンの作者、やなせたかしさんについて語った本。

 やなせさんは大正8年生まれ。弟さんを特攻隊で亡くしたという。昭和40年頃、マンガはさっぱり売れず病気にもかかってしまい、まさにどん底。そんな冬のある日、冷たい手を電球にかざして暖めていたら、電球の光が手のひらを透かして血の色が見えた。自分はこんなに絶望しているのに、この手のひらには熱い血潮が流れているではないか・・・。そう思うと何だかふっ切れる物があったという。こうしてあの誰もが一度は歌った事のある歌、「手のひらを太陽に」を作詞したという。

 その後は絵本や詩や童話が当たり出し、アンパンマンもジワジワ人気が上がり続け、今では押しも押されもせぬ絵本の大家。

 書店に初期のアンパンマンの絵本があったので立ち読みした。その絵本では、アンパンマンは誰かに作られたわけではなく、最初からいきなりアンパンマンとして登場する。ジャムおじさんは偶然出会ったパン職人として登場。

 アンパンマンは困っている人に頭を食べさせて、自分は胴体だけになっちゃって、どこかに飛ばされていなくなっちゃうんです。(バイキンマンは出て来ない)

 アンパンマンは死んじゃったんでしょうか? いいえ、アンパンマンの正義の心は、皆の心の中に生きていているのです。・・・という話であった。やなせさんの、「正義を行うには自己犠牲が必要だ」というメッセージをストレートに表したキャラクターだったのだ。


「テレビ博物誌」 荒俣宏 著
 昭和30年頃のテレビは7〜10万円と極めて高価だったが、当時3万円くらいの組立キットのテレビというがあって、電器店で組み立てて売っていたとか。TBSが開局当時、ストリップ劇場の中継番組をして非難をあびたとか。「日本のテレビの父」高柳先生のテレビ開発は苦闘の連続だったとか。そういうテレビの歴史について語った本。






「さらば!怪獣VOW」
 宝島社のVOWシリーズの一つ。怪獣VOWの第3弾。まだ書くネタあるの?と思ったら、ネタ切れどころか全開バリバリ状態。シリーズ中最高の面白さという気がする。爆笑ネタが続々。ただし子供の頃、ウルトラマンとか仮面ライダーとか見ていないと面白くないだろう。見ていた人にはお薦め。こういう濃い本は製作が非常に大変なので、もう作りたくないそうだ。


「おもしろ発明・珍道具大博覧会」
 一見便利そうだけど実は全然使えない変な発明品を集めた本。(最初から全然便利そうでない物も多い)

 アイデアだけは誰しも一度は考えたけど、バカらしさのため誰も実行にはうつさなかった、そんな変なアイデア商品を実際に作って試してみている所が凄い。文章だけではこの凄さ面白さは伝わらないかもしれないが、かなり笑える一冊だ。

 例1「マッチ付きタバコ」
  先端にマッチの火薬が付いているタバコ。擦るだけで火がつく便利なタバコだが、火薬の発火する時に出る煙も一緒に吸ってしまうので健康に悪い。しかし元々タバコ自体が健康に悪いのだから、このくらいはどうと言う事もない・・・。

 例2「洗濯物乾燥日傘」
  骨だけの傘に洗濯物を張り付けた傘。洗濯物を干しながら日傘にもなるという一石二鳥の優れもの。差しながら歩くから洗濯物を盗まれる心配も無い。これだけメリットがあれば人目を気にする事も無いだろう。弱点は、洗濯物はよくしぼっておかないと重くなる事と、水がポタポタ滴って服が濡れてしまったりする事くらいだ・・・。


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