こんな本、買ってきました
(1998年ころ)



「岡田斗司夫のお蔵出し」
 オタキング岡田氏がいろんな雑誌に書いたオタク論を集めた物。15年以上昔のダイコン3時代から、最近のエヴァンゲリオン物まで。かなり濃厚で、ヤバめの内容(オウムのアニメとか)も含まれているのでシロウトの人はご遠慮願いますって感じ。



「トンデモ・ノストラダムス本の世界」
 あの「と学会」の会長が世にはびこる「ノストラダムスの大予言」本百冊読破して、それぞれを徹底的にこき下ろした本。私などは子供の頃、大予言の話を聞いて恐怖で夜も眠れなかったクチだけど、その元凶である「大予言」の本がいかにいい加減で、なさけない内容であるかが白日の下にさらされる。こんなモンのために俺達はおびえてたのか?という怒りさえ覚える。

 たくさん出ている「ノストラダムス予言本」で主張されてるそれぞれの予言をまとめて年表にした物が載っていて、それを見ると面白い。一口に「ノストラダムス本」と言っても予言の内容はそれぞれバラバラで、1980年代から毎年のように第三次世界大戦が勃発し、ローマ法王が暗殺される事になっている。

 こういういいかげんな話を暴く本をもっと早く出して欲しかったねえ。「大災厄が来る!」「滅亡だ!」という内容の本はよく売れるけど、「そんなのはウソ」「滅亡しません」という本は売れないのだそうだ。出版業界でも「恐がらせれば売れる」という事になっているという。

 6〜7年くらい前にも「大予言の嘘」という同じ趣旨の本が出ていて、これはあちこちの書店を探して歩いてやっと買った。やはり恐くない本は売れないらしい。



「笑える!大予言の謎」
 古今東西の予言を集めて笑い飛ばす本。見た感じ「と学会」の本に似ているけど、雰囲気はかなり異なっている。それぞれの予言を直接に否定したり批判したりする記述は少なく、次から次に予言(その多くはハズれている)を見せる事で個々の予言が何だか滑稽に見えてくる、という感じ。



「悲しきネクタイ」 植木不等式 著
 サラリーマンの悲哀、悲喜コモゴモを、豊富な知識とダジャレを駆使して面白く読ませるエッセー集。面白い本なのにあまり売れていないようだ。元は、今は亡き「科学朝日」に連載していた物。



「東大オタキングゼミ」
 オタキングの東大におけるゼミをそのまま本にした物。問答形式になっていて読みやすく、しかもけっこうタメになったりする。ただしゼミを行ったのがプレイステーションが出る前の頃なので、ゲームに関する項はデータが古い。



「ぼくの命を救ってくれなかったエヴァへ」
 エヴァンゲリオンの評論・解説・謎解き本は腐るほどたくさん出たが、その最後尾と思われる本。エヴァ本の中には普段アニメなんか見ない人が「売れるから」という理由で書い本や、大した知識もないくせに分かったような事を言うクズ本も多いが、この本はこの手の物を書かせたらかなりうるさい評論家・切通理作氏が編者なので、そういう意味ではしっかりしている。アニメその物というよりは背景にある思想の面から追求している。オウム問題との関連もタブー視せずに書いている。



「トンデモ世紀末の大暴露」
 トンデモ本シリーズの第4弾(かな?)。そこそこ楽しめるが、パワーダウンの感は否めない。構成にもちょっと問題あり。昨年度のトンデモ本大賞は「発情期ブルマ検査」というロリ系エロ小説だった。その内容が紹介されているのだが、それはさすがに凄かった。



「世界の故事・名言・ことわざ総解説」
 日本、中国、西洋の故事名言などを豊富に解説した、かなり厚い本。ひとつひとつの解説は1分以内で読める適度な長さなので、適当なページをパッと開いて読むような読み方ができる。雑学本、話のネタ本としてトイレに一冊置いておくと良いかも。



「異説歴史事典」
 歴史上の事実として広く信じられている事で、実は事実と違う事も少なくない。そういう事柄を集めた事典。

 例えば、コペルニクスやガリレオは地動説を唱えたが、真実を見ようとしないカトリック教会によって異端とされ、迫害された・・・というイメージがあるが、事実はちょっと違うという話。

 コペルニクスは別に積極的に地動説を説いたのではなく、実はローマ法王から頼まれて論文を提出したのだった。しかし(当時は観測技術が貧弱だったので)コペルニクスは地動説を証明する事ができなかった。

 それから70年後ガリレオの時代、当時の学者達はプトレマイオスの天動説では全てを説明できない事は認めていて、ガリレオの地動説も仮説の一つとしてなら認めていたという。しかしガリレオも地動説を裏付ける証拠を提出する事はできず、結局「仮説」の域は出なかった。だから、地動説を「真理」として認めなかった当時のカトリック教会や学者の態度も、実は科学的な対応だったとも言える。

 そして宗教裁判に立たされたのは、意固地な学者の一派との対立のもつれが原因だったという。裁判の記録は今も残っていて、ガリレオは促されるよりも先に自分で主張を撤回しているし、有名な「それでも地球は動く」という言葉はもちろん出てこない。地動説も仮説としてなら、とがめられる事は無かったらしい。

 ガリレオは有名な大学の教授で、大物貴族のバックアップもあり、かつ領事という特権的な立場の人だったので、裁判で実刑が言い渡されても刑は執行されず、自由の身だったという。

 他には例えばナイチンゲール。
 野戦病院で献身的な看護をするうら若き乙女、という純白なイメージがあるが、(これは伝記をちゃんと読めばわかる事だが)実は彼女が野戦病院に行った時すでに30代半ばで、しかも生涯一度も看護行為をしなかったのである。看護婦養成にたずさわったのも晩年になってからの事だった。

 実像は、政治家指導者肌の女性だったらしい。看護婦の鑑みたいなイメージは、当時の新聞によって作られた物だったのだ。



「よしえさん」第6巻
 実在ニョーボよしえさんシリーズ。家族状況がうちと似ているので親近感がある。それにしてもこの人、よく家族で何泊もする旅行してるけど(自家用車や飛行機は良いとして、夜行列車まで使ってる)、幼児2人を連れて旅行するってのは、物凄く大変だと思うのだが、あんまり辛そうじゃないなあ。うちなんか実家に1泊するだけでもけっこう大変なんだけどねえ。(旅館に泊まると子供が色々お仕事してくれるのよね・・・) あと、何だかんだ言ってクルマをしょっちゅう買い替えているな。それもけっこう高価なヤツを。金あるなあ。



「仙台・東北・北海道の城下町」
 江戸時代の盛岡の地図を見ると今の大通りの辺りは全部大きな池(北上川の流れが今の位置になる前の、昔の川の跡が池になったもの)で、これと中津川が盛岡城の天然の堀の役割をしていた。サンビルの横に池があるけど、あれがその名残らしい。あと本町の方に2重の人工の堀があった。どちらも戦前くらいまでは(名残程度は)残っていたようで、親父は「名前はしらねえが、池があったな。堀もあった」と言っていた。開運橋は鉄道が出来てから作られたので、当然まだ無い。当時の北上川は仙北町の方に小船を繋げて板を渡した「船橋」というのがあったという。



「岩手の不思議・なぜ?どうして?」
 この本によると、昔、廃藩置県の時、最初は盛岡県という名前だったのだが、実は「盛岡」という地名は町の名前ではなく、盛岡城の周辺地域の町や村(仁王村・志家村・東中野村など)の総称だったので、古来からの郡名である岩手郡から岩手県と改名したという説がある。(正確な事情は不明らしい)

 あと、県庁のある場所が元は藩主南部家の屋敷があった場所で、その両隣は南部家の重臣、北家と楢山家の屋敷があった場所だという。石割桜の岩は、もと北家の屋敷の土台になっていた岩(当時は大半が埋もれていた)で、1708年の落雷で割れ、そこから桜が生えた(誰かが植えた?)のだという。



「物が語る世界の歴史」
 この本を書いた綿引弘という人は、以前NHKの教育テレビで高校講座世界史を担当してた高校の教師だ。語り口が軽妙で、楽しく勉強できる。この本は時代や地域ではなく、「物」をキーワードにその歴史をひもとく。例えば「自動車の歴史」とか「コーヒーの歴史」とかである。

 意外な話では、イギリスで紅茶を飲む習慣が生まれたのは、日本での茶を飲む習慣が伝わった物で、そのため当時はティーではなくチャと言っていたという。(ティーは広東語のテーから出た言葉)

 あと、中世のヨーロッパの都市の下水事情は劣悪で、あのパリでも下水が無いために日没後は「お水に注意!」と叫んで、溜めてあった糞尿を道にぶちまける習慣だったという。というわけで町は物凄く不潔で臭かったそうだ。

 太陽王ルイ14世もパリの臭気に嫌気がさして、パリから離れたベルサイユに宮殿を造らせたという説があるくらいだ。今に残る地下下水道や飲用水と雑用水の2本だて上水道は、ナポレオン時代に作られたものだという。いや〜、勉強になるなあ。

 もちろん当局は罰則を設けて取り締まったのだが、あんまり効果は無かったらしい。また、平日なら朝に清掃員が汚物をかたづけてくれるのだが、日曜は清掃しなかったので、1日中強烈な異臭をがまんしなければならなかったそうだ。

 この悪い風習はヨーロッパの他の都市にも波及して、ロンドンでもフランス語で「お水に注意!」と叫んでぶちまけていたという。



「海賊版ビジネスの世界」 宝島別冊
 ウルトラセブンの第12話みたいに、放送されなくなった番組のビデオが闇市場で売られているという。セブン12話以外にも怪奇大作戦の第24話「狂気人間」、太陽にほえろの第20話、東宝映画「ノストラダムスの大予言」、「どろろ」「アパッチ野球軍」「海のトリトン」なども封印された物だという。だいたい理由が想像できる物ばかりだが、海のトリトンは意外だなぁ。(「どろろ」や「トリトン」は後でBSやCSで放送した)

 人気アニメのキャラクターを勝手に使ったHマンガ同人誌と、その同人誌を勝手に丸ごとコピーして売りさばく業者の対立とか、イベントで配られた限定アイテム(レア物なのでマニアの間で高額で取り引きされている)を、業者に似た物を作らせて高額で売りさばいた男の話とか、日本のマンガを勝手にコピーして出版している台湾の業者の話とか。(自分が人の物をコピーするのは悪くないが、自分の物を誰かがコピーするのは許せない、という業者の本音が興味深い)



「レトロおもちゃ大図鑑」 別冊宝島
 一見、最近よくありがちな本だが、そこはさすがに別冊宝島シリーズ。なかなかツボをおさえた、充実した内容になっている。

 駄菓子屋で売っていた安物のおもちゃとか、怪しい安物菓子類。クラッカー、銀玉鉄砲、スーパーボール、パチ物のカードなどなど。よくもまあこんなに集めたなあという感じ。文章の方もかなり濃くて、当時それらで遊んでた元わんぱく小僧が書いている。

 これを読むと、日本全国どこの駄菓子屋も(うちの近所と同じように)ちょっと意地悪な婆さんが経営していたんだなあ、という事がわかる。懐かしすぎる! 昭和30年代生まれの人(特に男子)は必見です!

 私が子供の頃、雑誌の通信販売で「ロケットエンジン」というのを買った。直径2センチくらいの円筒形で、中に固形燃料を入れて点火すると小さい穴から噴射して、模型飛行機などを飛ばす事が出来た。が、俺はスペアの燃料を買わなかったので、1回試験運転しただけで終わってしまった。とても悲しかった。この事はすっかり忘れていたのだが、この本に載っていたので思い出した。やはり同じような事をしてたヤツが全国にいたのだ。



「うわさの謎」
 よくある「○月○日に地震が起こる」という噂、Eメールを利用した一見まともそうな署名集めや呼びかけ、箸袋を集めると車椅子に交換してもらえるというデマなど、いろんな噂を研究をした本。

 どこかで「当たり屋が来ています!下記ナンバーのクルマに注意!!」「サイドブレーキで止まるのでブレーキランプが点灯しません!」「これを知人、友人に知らせて下さい」というチラシを見た事あるでしょう? あのクルマのナンバーは全部デマだそうだ。

 チラシには山口ナンバーのクルマが多いので、著者が山口県警に問い合わせてみたら、もう10年以上前に山口県警で調査済みで、全部デマである事を確認しているという。しかも大手の新聞で1986年以来毎年のように「当たり屋チラシは全部デマ」「不幸の手紙をまね、拡散」という記事が報じられていた事が判明(意外!)。

 しかし不思議な事に今でも各地でチラシが各地で流通しており、あくまで本当の事として扱われているという。(著者がデマである事を説明しても、頑として信じてもらえなかった事があったという)たしかに、大衆食堂の壁にも貼ってあったし、自動車学校で教官が授業の時に配布していたっけ。

 あのチラシには情報の出所や日付、誰が書いたかなどが一切書かれていないので前々から胡散臭いとは思っていたが、やっぱりデマだったのね。それにしても自動車学校で配布されたら信じちゃうよな、普通。

 そういういいかげんな物なのに、「これは大変だ!早くみんなに知らせねば!」と思わせる要素が多いので、みんな正義感からどんどん広めてしまっているのだろう。


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