こんな本、買ってきました
(2008年、意味不明のお話)



 ゲーテの「ファウスト」の一節に、「まるきりのデタラメは、なかなか大層らしく思える」というのがあったが、意味か解らない文章が自信たっぷり延々と書かれてあったりすると、ついつい「何か深い意味があるに違いない」と思ってしまうもの。

 そんな本を2冊紹介。


【メルヒェン】
 まずは当のゲーテ作「メルヒェン」。一見、グリム童話とかアンデルセン童話のようなファンタジーで、後の創作ファンタジーの元祖的存在と言われているらしい。

 このお話の特徴は、どういう意味があるのかさっぱり理解できないという点。

 リーリエという美しいお姫様が中心人物っぽくて、鬼火や若者が会いに行くという話なのだけど、その鬼火や若者が何をしたいのかよく解らないし、リーリエの対応もよく解らない。その他、渡し守とか鬼火とか蛇とか大男とかおかみさんとか出てくるんだけど、それら登場人物の行動もまたよく解らない。何か意味ありげではあるのだけど・・・。

 発表当時から、何か深い意味が含まれているのでは?と多くの人が研究したそうだが、当のゲーテは多くを語らなかったとか。

 で、俺が読んだ感想もやっぱり「意味が解らん」。

 まあ民話(メルヘン)の元々の内容なんて、実のところ、深い意味なんてモノは無いのかも知れないなぁ、とも思った。


【スナーク狩り】
 2冊目は、「不思議の国のアリス」で有名なルイス・キャロルの「スナーク狩り」。

 「不思議の国のアリス」や「鏡の国のアリス」も相当にシュールというか、ワケが解らない内容ではあるが、この「スナーク狩り」も凄い。

 船でスナークを狩りに行く連中のドタバタを書いた、意味不明な短い詩の集まりなのだが、肝心の「スナーク」ってのが何なのか、まるっきり不明なのだ。どうやら動物ではあるらしいのだが・・・。

 で、狩りのメンバーも、リーダーの「鐘鳴らし男」と肉屋は良いとしても、銀行家、ビリヤードの記録係、帽子屋、ビーバー等々、狩りに関係無さそうな連中ばかり。そもそもビーバーは人間じゃないし。(しかもこの肉屋はビーバーしか殺せないと言うし・・・)

 それでも最後にはスナークを見つけるのだが、ところがそのスナークは「ブージャム」だったのだ。あれほどブージャムには気をつけろと言っておいたのに!!・・・というオチがついて終わる。

 ・・・・・・。

 えーと、ところで「ブージャム」って何ですか?(苦笑)


 これを読んだ多くの人が、作者に「スナーク」って何ですか?「ブージャム」って何ですか?と質問の手紙を出したそうだが、返答はいつも一緒で、「私にも解りません」だったという。

 要するに、意味の無い、妙ちきりんな言葉遊びを楽しむ「お話」なのだな。この作品以降、「スナーク」や「ブージャム」は、『何だか解らないモノ』という意味を持つようになって、各方面で使われるようになったという。

 ちなみにルイス・キャロルは数学者の方が本業だが、その数学上の「四色問題」 (どんな地図でも4色で色分けできるのかどうか)において、4色で塗り分けられない物の事をスナークと呼ぶという。

 実際には、どんな地図でも4色で塗り分けられるので、つまり「スナークは存在しない」という事になる。これを誰がスナークと名付けたかは知らないけど、ウィットって言うんですか?ユーモアって言うんですか?

 また、2007年のアニメ「神霊狩り」の中でも、幽霊みたいな変なヤツが主人公に名前を聞かれて「スナークとでも呼んで」と言うのだが、主人公に「スナークって何?」と尋ねられると、「ブージャムの事さ!」と答えるシーンがあった。「スナーク狩り」を知った上で見れば、「あ〜」と納得のシーンだ。

[2008/09/12]


戻る