俺と椎間板ヘルニア
(手術〜リハビリ編)

2010年7月、某病院


【手術入院】
 今回の入院は手術のための入院なので、ちょっと緊張。

 前回の検査入院で造影X線撮影をしたが、今回は更に精密に見るため、椎間板に絞った造影X線撮影をするという。これの予定が木曜日。

 で翌日の金曜日に手術。全身麻酔をかけ、背中を数センチ切ってヘルニアを切除するんだそうだ。

 手術後は月曜日まで集中治療室で寝たきり。動けないんだって。歩けるようになるため、ぼく、がんばるよ。


【コルセットの型どり】
 今日は石膏でコルセットの型どりをやった。専門の業者さんが作ってくれるんだけど、その人、俺の背中を見て

 「あら〜、ずいぶん(背骨が)曲がっちゃってるねぇ〜」
 「(痛いのを)長い事ガマンしてたでしょ〜」
 「男の人はギリギリまでガマンしちゃう人多いのよ〜」

 とか言われた。

 手術後にこのコルセットを付けるワケだが、要するにギプスだね。


【事前説明】
 先生が事前説明で、「今時ヘルニアの手術で半身不随とかなったら裁判モノだけど、全身麻酔が原因で死ぬ人はいるんだよ。幸い私は見た事無いけど、本に死ぬって書いてある」などと言う。

 読んでおいてと渡された麻酔の説明書にも、少数ではあるけど死ぬ人はゼロではない事がさりげなぁ〜く書いてある。

 麻酔、怖っ!(^_^;;;;


【手術前日】
 今日は椎間板造影X線撮影を行った。

 検査入院した時やった脊椎造影とほぼ同じ手順で椎間板に造影剤を注入。X線撮影とCTスキャン。より精密なヘルニアの状況を見るワケだ。

 針の入れ方が悪いと神経に当たって痛いらしいけど、先生が上手く挿してくれたので少しの鈍痛(でもけっこう嫌な痛さ)程度で済んだ。

 いよいよ明日は朝9時から手術。


【当日朝】
 朝、手術着というのに着替える。患者を寝かせたまま一部分だけ裸にできるローブのような特殊な着物だ。

 下着は着けず、替わりに「T字帯」というヤツ(普通に薬局で売っている)を腰に着ける。これ、要するに薄い越中ふんどし。患者を簡単に裸にできるという理由かららしい。

 あと、3日間はベッドから降りられないが、ご飯は普通に食べるため、できれば大便も朝のうちに出しときたい。

 もうひとつ。寝たきりの時間が長いと「エコノミー症候群」が起こる危険性があるので、それを防ぐ目的で脚にきついストッキングをする。で、ストッキングの上から空気圧式のマッサージをする機械を付ける。


【最終確認】
 いよいよ手術前の最終確認。X線室に行って、今回切開する場所に印を付ける。医師がリアルタイムでレントゲン画像を見ながら肌に何かマーキングをするらしい。

 背中に麻酔注射をしてからやったから、針か何か金属製の物を刺したのでは?(俺からは見えないので詳細不明)


【手術】
 で、ベッドに寝かされたまま手術室へ。ドラマなんかでよく見るシーンそっくりだ。

 「手術中」のランプの下をくぐって中に入ると、中はけっこう広くて、俺は第3手術室という部屋に入った。

 で、すぐに酸素吸入開始。

 医師「9時。時間ピッタリだね」

 助手「そうですね。いつもこうだといいですね」

 医師「えーと、黒沢さん。数を数えてくださーい」

 俺「いーち」「にーぃ」「さーん」「よーん」「ごーぉ」





 医師「・・・さわさーん、黒沢さーん、終わりましたよー」

 俺「(寝起きのような気分で)あー、はいー」

 医師「足首動かせますかー?」

 俺「(足首動いた)あー。はいー」

 てな感じで、気がついたら麻酔で寝てて、知らない間に手術は終わっていたのだった。この間約3時間。

 手術前は足をまっすぐにして寝る事が(痛くて)出来なかったのだが、手術後の確認で足をまっすぐにして寝ている事におどろいた。「おお、治ってる! 手術すげー!!」と思った。

 で、鼻には酸素吸入、胸には心電図、腕には血圧計と点滴、チンポコには排尿のパイプ、脚には空気圧のマッサージ機器などなどが付けられた状態で、集中治療室入り。

 とりあえず足はちゃんと動くし、感覚も普通にあるので神経を傷つけた等は無し。手術は成功という話だった。まずは、めでたい!


【地獄の一夜】
 集中治療室に入った当初は「ただ寝てればいいんだもんね〜」などと気楽に考えていたのだが、切った範囲は小さいとはいえ、そこは切開切除手術。身体が痛さを覚えてる、とでも言いましょうか。徐々に、徐々に痛さが増してきた。

 夕方くらいまではまだPSPで映画を見るくらいの余裕があったのだけれど、夜になったらもう映画どころではなかった。

 切った場所はもとより、もう腰全体がぐわんぐわん痛い感じ。あまりの痛さに体中から脂汗が出てるような感覚。

 でも、手で額とかぬぐってもそんなに汗は出ていない。「まだ大丈夫か」と思ったが、まだまだ序の口。痛みは収まるどころかどんどん強くなる一方だった。

 泊まり込んでいたニョーボは、「お父さんの方を見ると、いつも顔を手でぬぐっていた」と言ってた。もうね、どうしようか。いつまでこの苦しみは続くのかと思ってたね。

 ま、答えは「ナースコール」なんだけど、男子はなかなかギブアップせずに頑張っちゃうんだよな〜。


【ナースコール】
 夜何時か分からないけど結局ナースコール。座薬式の鎮痛剤を肛門に挿入してもらった。「効くまで時間かかりますので〜」と言われ、効き目が出るまでひたすら耐え続けた。

 耐えていたら、あ、確かに少しは効いてきたかもという気分になってきた。(1時間後くらいか?)

 切った場所はもう痛くない感じだが、お腹の側や腰骨の辺りがまだ痛い。とても眠れるような状況ではなく、あああ、座薬でもやっぱダメかもおおぉおぉ〜〜!と2度目のナースコール。

 看護師さんもちょっと困ったようで、「あとは腕にする筋肉注射があるんですが・・・、しますか?」という。

 もう、この痛みが少しでも減らせるなら何でもして!という気分だったので、腕に注射してもらった。こっちも効くまでは少々時間がかかるという。

 「うううう・・・〜〜ん」
 「うう〜〜・・・・んん」

 と耐えていたら、注射が効いてきたようで、少し楽に。それまで耐えていた疲れからか、気がついたら眠ってた。

 どぎつい色のついた夢を見たような気がして目が覚めたが、まだ深夜。眠っていた時間はそんなに長くなかったようだ。そのまま痛みと戦い続け、そして朝になったのだった。長い夜だった・・・。

 背中の痛い感覚は切開した傷ではなく、実は血抜きの針(ドレン)が原因だったらしい(?)。

 土曜に医師が「あんまり血が出てないみたいだからドレン取っちゃいますか」と言って、針を抜いてくれた。これでだいぶ楽になった。

 もし土曜日にドレンが抜けなかった場合、日曜日は医師が休みなため、月曜日までドレンを付けたまま過ごさねばならず、かなり辛かったかも。土曜と日曜は、金曜夜の地獄に比べたら全然楽に。


【腰はひねるな】
 実は初日から「寝返りしてよし。ただし腰をひねるのは御法度」という指示が出ていた。

 腰をひねらずに寝返りをうつのはけっこうコツがいる。最初は看護師に手伝ってもらっておっかなびっくり。でも寝返りしないで同じポーズで寝ていると、背中が痛くなってきて、最悪床ずれになってしまうという。

 あと、動かないと筋力がどんどん衰えて行くそうだ。努力してポーズを変える必要があるのだ。

 ベッドは電動ベッドで、上半身を起こす事ができるようになっているのだが、こっちも「できるなら起こして良し。つか起こせ」との指示。

 最初起こした時は、頭がクラクラした。

 実際に寝ていた時間はたかだか24時間程度。それなのにまるで1週間くらい寝たきりだったような感覚だ。

 この集中治療室での寝たきり時、PSPが非常に役に立った。集中治療室にはテレビが無かったので、テレビ見れるだけでもヤッホ〜!って感じだった。

 録っておいた映画を見たし、PS3経由でダウンロード購入したFF7もやった。PSP万歳!

 ただ、夜はあんまり眠れなかった。収まってきたとはいえまだ腰は痛いし、脚に例の強い圧力のストッキングをはき、常にマッサージの機械が動いている。この動作音が「ブブブブウ」とけっこう枕に響く。こんな状況下ではなかなか眠れませんわ。


【赤ちゃんプレイ】
 寝たきりの患者には「清拭」というのが1日1回行われる。要するに看護師さんらが身体を拭いてくれるのだ。その姿は、もう完全に赤ちゃんのおむつ替え状態。

 女性看護師がチンポコとかをグリグリ洗ってくれるのはある意味禁断の快楽(冗談ですよ〜(^_^;)。本能的にアレがおっきしてしまわないか心配だったが、まあ、心身ともに衰弱してたせいかそんな事にはならなかった。


【こいつ、動くぞ】
 順調に行った場合、3日目には立ち上がれるという話だった。俺の場合は、途中に日曜日があったので、月曜日がその日だった。

 月曜の昼に担当医師やリハビリ担当、主治医など関係者が集まり、それらの見守る中で立ち上がって歩くという儀式みたいなのがあった。

 それまではずっとベッドの上で、寝返りを打つのにもちょっと困るくらいだったので、自分でも「これ、本当に立てるのか?」と心配してた。

 で、以下俺の心の声。

 ジーン「いや、まだよく動けんようです」

 アムロ「立てよぉ〜、この〜」

 デニム「た、立った!」

 ミサト「いい、黒沢くん。今は歩く事だけを考えて」

 シンジ「はい。(歩く・・・)」

 (とすっと一歩)

 リツコ「歩いた!」

 ハイジ「やったー、クララが歩いたー。歩けたのよクララー」

 などと、記事にした時のネタを頭の中で考えつつフツーに立って歩けた。自分でも意外だった。※後で調べたら「歩く事だけを考えて」という台詞はミサトではなくてリツコの台詞だった。

 手術前までは、まっすぐ立とうとすると右脚のふくらはぎ辺りがビリビリしびれて痛かったが、そういうのが無い。背筋を伸ばしてまっすぐ立てる。これは勝利ですよ。まさに医学の勝利。やったー!と思ったね。


【ちょっと気になる事も】
 でも、ある程度自由に動けるようになって、ちょっと気になる事が出てきた。以前あったふくらはぎのしびれ・痛みは解消されたが、代わりに今度は太もも後ろにしびれが走る事を発見してしまったのだ。

 こういう事はよくある事らしく、看護師さんは「そうですか、上に移りましたか〜・・・」と言っていた。

 今の所、座る、立つ、歩く等の動作中はしびれないので、生活には困らない症状とは言える。が、今後このしびれが広まっていく危険性も無きにしも非ずなのがちょっと心配。


【シャワーでスッキリ】
 手術後1週間は洗髪やシャワー等は禁止で、もう頭がかゆくてねえ。夏だし。身体はタオルで拭けるけど、頭は・・・(;_;)

 とか思ってたら、朝、「昼食後にシャワー入れますので準備をお願いします」って言われた。予定では明日だと思っていたのでビックリ。

 1週間ぶりにシャワー浴びた。スッキリ!


【極意はリハビリにあり】
 最初に書いたように、義母の腰を治した実績を買ってこの病院に決めたワケだが、俺はてっきり、義母は腰の手術をして治したんだと思っていたのだが、入院した後になって知ったのだが、実は義母は手術はしておらず、ひたすらリハビリをしてたんだって!

 それを聞いて俺は内心「えー!!」と思ったが、冷静に考えればそれだけリハビリが大切で有効という事なんじゃないかとも思った。

 でね、ここからが本題なんだけど、上で動くと右ももの裏側がしびれて痛いという話を書いたけど、どうやらこのしびれ、筋肉が不自然に緊張しているのが原因らしいのだ。

 今日のリハビリで「右ももがしびれて痛い」と訴えたら、先生がいろいろな動きを試してみて、ある準備運動みたいな事をした後だと、さっきまでの痛さが嘘のように軽減されるという事が分かったのだ。

 先生から特段説明は無かったけど(聞くべきだったか?)、ヘルニア痛の下で長い間不自然な姿勢で生活していたため、腰から脚にかけての筋肉が不自然な形に緊張していて、それが原因で右もものしびれ・痛みが起こっているらしい。今日のリハビリの結果を見ると、そうとしか考えられない。

 つまり、右もものしびれ・痛みはヘルニア痛や手術の失敗などではない。リハビリで治療可能という事だね。たぶん・・・。


【リハビリ、つづき】
 リハビリが重要な事は知ってるし、この病院のリハビリ科は実績ある事も知ってるが、俺の担当の先生がこれまた怖い(^_^;

 聞けば、リハビリ科で一番エラい先生だそうで、いつも他の科員の動きに目を光らせている。俺としてはちょっと苦手。

 例の右もも裏の痛み&しびれは強烈で、普段は何ともないのだが、いったん来ると「おおう!!」と声が出てしまうくらい痛い。

 これに対する先生の対処は、足を曲げたり伸ばしたりを繰り返す「準備体操」的な運動。あと足とお尻に電極を貼り付けて電気を流す、電気マッサージ。

 リハビリ指導は1日30分程度しかやらないので、これでは7月中に完治は難しいのでは?と思い、ベッドにいる時も暇さえあればこの運動をするようにしていた。

 その甲斐あってか、少しずつではあるけど、痛みの出方が少なくなってきているような気がする。

 あと、ずっと歩行器を使っていたのだが、リハビリの先生が「使うのやめてみる?」と言うのでやめる事に。

 歩行器使ってた時も、できるだけ歩行器に寄りかからないようにしてたつもりだったんだけど、実際、使わないで歩くと腰に上半身の重さがズッシリくる感じでビックリした。

 入院してるとベッドに横になってる時間が長いから、体力が落ちてるのかも・・・。


【転科】
 痛いのが治らないかと思ってた右ももの痛み&しびれは、気が付いたらほとんど気にならないほどに回復していた。原因はヘルニアで圧迫されていた神経がまだ元に戻っていないせいらしく、先生から「あなたがどれだけ神経を痛めつけていたかで違ってくる」みたいな言い方をされた。(例の怖い先生。言い方がアレだ・・・)

 整形外科は終了で、リハビリ科に転科になった。病室も引っ越しで、4人部屋に移った。

 6人部屋と同じ広さなのに4人部屋なので、一人当たりのスペースが広い。ゆったりだ。

 廊下を歩いてたら、知らない人から

 「あら! 歩けるようになったんですね!!」
 「手術したんですね。良かったねえ〜」

 とか声をかけられてビックリ。名前は知らなくても、気にかけてもらえてたんだねえ。ああ、人情未だ廃れず(T_T)o


【症状、その後】
 歩いている所をニョーボに見てもらったら、ヘルニア痛だった頃の癖がまだ残っていて、右肩が下がってるという。やはり身体を正しい姿勢に直さなければダメか〜、と思った。

 ドクター曰く。「神経を新品に入れ替えた訳じゃないんだから、症状が完全に無くなる訳じゃないよ」

 つまり、いくらかは症状が残ると。

 俺の場合も、一時期ひどかった右もものしびれ&痛みはほとんど解消したけど、それでも右脚にいくらか違和感が残ってる。(走ったりジャンプしたりすると痛い)

 ヘルニアによる神経圧迫がどれだけひどかったかによって、後遺症の大小が違ってくるらしい。

 この後、突然背骨が「ポキ!」と音をたてて腰が抜けたようになってしまう症状が現れたり色々あったけど、何とか無事予定通りに退院できたのだった。めでたしめでたし。

 ところで、この使わなくなったVAIO・Pとエアウィーヴ、どうしよう・・・(^_^;;;;;

(おわり)

[2010/8/12]


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