東日本大震災の記録
(4)6日目〜10日目

2015年3月、当時を思い出して


【6日目】
 食器は洗えないので、同じ物を使い回している。トイレは上水も下水も使えない状態なので、大便は新聞紙にしてレジ袋につつんで貯め、小便は便器に溜まる一方。とても臭い。

 あと風呂に入れないのが辛くなってきた。自分で自分の臭いが気になるほどで、頭や身体もかゆい。ニュースによると、ガスの復旧には1ヶ月くらいかかるとの事。ちょっとヤバいかな(^_^;

 ガスが無いと煮炊きできないので、電気コンロが無いか探しに行こうと思うが、仙台市の方もガスが止まっているので、みんな欲しがるから入手できる可能性は低い・・・。今日は雪が降っているので、明日晴れたら買い出しに行こうかな?と思う。


【7日目】
 水道の復旧は4月上旬になりそうとの事。ガスはどうなるのか分からないから、家でお風呂に入れるのはかなり先になりそうだ。

 給水は、遠くの町から応援の給水車も来てるので、最初の頃のような大行列は解消されつつある。でもお年寄りしかいない家では、水とか食料を確保するのが大変そうだ・・・。

 無料で商品を配っていた近所のスーパーだが、さすがに商品が無くなってきたみたいで、配布は今日で終了との事。

 今日も雪で遠出は出来なかった。天気予報では、明日は晴れるようなので自転車で買い出しだ。

 心配なのは気仙沼の義母と義兄夫婦の安否。いまだに連絡がつかない。ニュースでも気仙沼の惨状は報道されていたので、マジで心配だ。


【8日目】
 ローカルニュースで「営業する」となっていた遠くのスーパーまで自転車で遠征に出た。しかし行ってみたら先着5百人限定との事で結局買い物できず・・・。仕方無く、開いてる店を探しながら仙台方向に進んだ。

 道路脇で、軽トラでオレンジとか売っている人がいた。しかし、前にいた客が「ぼったくりだ!買わねえ方がいいぞ!」と捨て台詞を言って去って行った。オレンジの値段を聞いたら、確かに高かった・・・。

 その後、小さな商店に行列ができているのを発見。すぐ並んだら野菜とか果物とかけっこうな量を確保できた。(右の写真)

 その店の前の道路にはなぜか共産党の新聞「赤旗」が捨てられていて、見ると「高濃度放射能飛散」という大見出し。(下の写真)


 この頃のテレビのニュースの解説では「原子炉は5重の壁で守られてます!」と、その安全性を強調していたので、原子炉建屋が水素爆発で吹き飛んでもあまり危機感は感じていなかった。

 実際、この見出しを見た俺も、「ま〜た共産党が騒いでるわ(苦笑)」程度にしか思ってなかったのだが、今にして思えば赤旗の方が事態の切迫度を他紙より正しく伝えていたのでは?と思うワケであり、原子炉はメルトダウンまで起こしていたのだ。今思い返すと、何とも複雑な心境だ・・・。

 この頃の道路は、津波が運んだ泥が乾燥し、それが風で舞い上がって、自転車で走ってると目のまわりが黒くなるような、そんな状況だった。家に帰っても水道が出ないから顔も洗えなかった。

 もしあの時、風向きが悪ければこっちに放射能が来ていた可能性も十分にあったワケで、その場合、俺などは完全にアウトだったはずなのだ。

 さいわいそのような事にはならずに済んだが、当時の報道や電力会社、自治体などの姿勢にはちょっと疑問を感じないワケではない・・・。


 それはそれとして、他に大規模スーパーにも寄ってみたのだが、どこも凄い行列だった。

 全国ニュースでもさかんに報道されていたが、灯油もガソリンも手に入らない。ガソリンスタンドの前には、いつ販売されるか分からないのに長蛇の列ができている。

 また県内のJR線は全部止まっているようで、レールには錆が・・・。(左の写真)


【9日目】
 気仙沼に住んでるニョーボの母や兄の家族とやっと連絡が取れた。みんな無事との事。気仙沼は被害が大きかった地域だっただけに、ずっと心配していたのだが、無事という事でホッとした。

 義母が入っていた気仙沼の老人ホームは、ニュースで有名になった、あの"打ち上げられた大型漁船"の近くにあったのだ。

 義母は、津波が来た時には2階にいたのだけど、黒い水が押し寄せてきて、胸まで浸かりながら3階に逃げたそうだ。また、近くで火災が発生し、あっちこっち逃げ回ったという。婆さん、ホント、よく生きてたなあ〜( ;∀;)

 水は給水からもらってるからいいが、ガスが止まってるため煮炊きができない。カセット式のガスコンロもカセットが尽きてしまった。そこら辺を考慮して、今日は天気が良いので仙台方面に買い出しに遠征した。

 しかし途中で自転車の後輪がパンク。知ってる自転車屋まで押して行ったが閉店してた。仕方が無いので徒歩で撤退。残念。

 途中に寄ったスーパーマーケットは、どこも凄い行列。コンビニは全部営業停止(下の写真)。ただし、品物が入ってきているスーパーもあった。


 今一番の問題は、やはり水とガス。水は、飲む分には十分あるけれど、洗濯やお風呂は無理。ガスは仙台圏一円で止まっているので煮炊きも風呂も無理。

 カセット式のガスボンベを探しに多賀城の燃料店に行ってみたが、閉店中。ホームセンターも閉店中でダメだ。


【10日目】
 ネットで調べたら仙台ヨドバシが営業しているというので、仙台まで自転車で遠征した。(昨日パンクした自転車ではなく、別の自転車を使用)

 目的は電気で煮炊きできる器具の購入。

 バスも鉄道も止まっており、クルマもガソリンが無いので自転車が貴重な移動手段になっている。自転車が複数あって良かったわぁ。

 仙台ヨドバシには朝9時過ぎに着いたが、駐車場には既にかなりの行列が。(左の写真)

 こりゃあ買えないかも・・・と思ったが、売り場に行ってみたらIH調理器や電気ポット、電気鍋などが山のように積まれており、それらが飛ぶように売れていた。

 俺も電気グリル鍋を購入。店員の話では「全国から商品をかき集めました!」との事。

 そして驚いたことに、ヨドバシでカセット式のガスボンベを大量に売っていた! これにはマジでビックリして、即購入。

 ヤマダ電機とか他の店舗が全部閉店状態なのに、ヨドバシのこの素早い動き。さすがヨドバシは商売が上手い! ヨドバシの機動力恐るべし!と思った。


 仙台まで行ってきた感想としては、コンビニは流通拠点をやられたらしく、地震被害が無さそうな所でも全部閉店していた。

 食べ物系も、すき家とか吉野家などのチェーン店は全部閉店状態。

 一方、家族経営でやってるような小さな店は営業している所があった。下の写真は、小さな食堂の前にあった「おにぎり有ります」の看板。


 ヨドバシからの帰り道で食堂が営業していたので、おそるおそる入店。

 「あの・・・、カツ丼、できるんですか?」

 「ええ、できますよ〜」

 「じゃ、カツ丼ください!」

 そして出て来たのが下の写真のカツ丼。


 ひとくち食べたら、

 「う、うめぇええええ〜〜〜〜〜〜(涙)」

 さすがに声には出さなかったが、こんな美味いカツ丼は初めてだあ!と、思った。

 ホント、暖かい食べ物のありがたさが、よぉ〜く分かりましたよ(;д;)

[2015/03/19]


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