スターシップ・トゥルーパーズ

パワードスーツ無しの「宇宙の戦士」


 アメリカ映画「スターシップ・トゥルーパーズ」(1997年)。この映画はハインラインのSF小説「宇宙の戦士」の映画化。「宇宙の戦士」は宇宙兵士が使うパワードスーツ(一人用の人型宇宙兵器)で特に有名だが、この映画では肝心のパワードスーツが登場しないので、その手のファンからは非常に不評だった。

 現在30代後半以上のオタクにとって、「宇宙の戦士」に登場するパワードスーツは特別な存在だ。ハヤカワ文庫の挿し絵に描かれたパワードスーツは最高にかっこよく、みんなの憧れであった。だから伝説的アマチュアアニメ「DAICON3オープニングアニメ」にも登場したわけだし、私が所属していた大学のサークル(動画研)のアニメにもしっかり登場した。メカが出てくるアニメを作るからにはパワードスーツを出さない訳には行かないでしょ?!というのが当時の暗黙の了解であった。

 いつかあの複雑なデザインのパワードスーツが完璧に動いている所を見てみたい。そう夢見たオタクは多かったはずだ。それほどまでに思い入れのある「宇宙の戦士」が映画化されたのに、実際にはあまり話題にならなかった。その理由はやっぱり、「パワードスーツが出てこない」という事に尽きる。そう。この映画には肝心のパワードスーツが出てこないのだ。兵士は機動隊程度のプロテクターを着て生身で自動小銃を撃つだけ。これじゃあねえ・・・。だから私も公開当時は見なかった。

 先日WOWOWでやっていたので何気なく見てみたのだが、予想に反して良い出来なのでちょっと驚いた。少なくとも、昔サンライズで製作したアニメ版よりは百倍良い。(このアニメ版はちょっとひどかった)

 最初は女につられて入隊した主人公だったが、訓練所で鬼教官に鍛えられ戦士として目覚め、地獄の戦場を生き延びてたくましい男になっていく・・・という話だ。雰囲気としてはリアル系戦記物という感じ。

 敵は昆虫型の宇宙人(宇宙虫?)「バグズ」。バグズはあくまでも憎むべき、相容れぬ敵として登場する。人類側の歩兵の装備は、人間相手には十分強力だが、バグズ相手にはパワー不足の自動小銃が一挺。バグズが腕を一振りすれば歩兵など真っ二つだ。弾丸何十発ぶち込んでも向かってくるバグズ。それが何万何十万と、もう地平線まで埋め尽くすほど大量に、殺しても殺しても襲ってくる。明らかに勝ち目ねぇじゃん!! 当然、味方はバタバタと殺される。たとえ生還できても五体満足でいられた者は幸運。だから義手義足は珍しくない。

 普通こういう戦闘では、まず最初に空爆してから戦車か何かを先頭にして、歩兵はその後から続くというのが基本だと思うのだが、そういうのが無い。あくまで歩兵の近接戦主体なのだ。もうちょっと戦略考えろっつーの(^_^; 原作だとパワードスーツが歩兵用戦闘機&戦車という設定なので歩兵メインでも問題無かった訳だが、映画だとパワードスーツが無いためにこういうちょっと無理がある設定になっている訳だ。

 しかしパワードスーツが無い設定のおかげで、生身で戦う人間の勇気、熱気、友情、怒り、恐怖、バグズの凶悪さなどがダイレクトに表現されており、「バグズをぶち殺せ!」というムードが素直に盛り上がる。

 映画では所々に連邦軍のCMが出る。最後には 「さあ!君も連邦軍に入隊し、共に戦おうではありませんか!!」という結論で終わるのだ。普通の映画だったら、「勝つには勝ったが、仲間がたくさん死んでしまった・・・」とか、「戦いよりも愛が必要だった」などとしんみりしてしまう所だが、この映画では「たとえ腕や足を失おうとも、死を恐れずに戦うべし!!」という内容で徹底しているのだ。

 この極端に軍事肯定の内容に、作者の本心がどこら辺にあったのか私にはよく解らないが、変に軟弱な内容にせず製作した所には好感が持てる。中途半端に湿っぽくやっていたら、かえってダメになっていたと思う。好みは分かれそうだけどね。


【続編があった!】
 スターシップ・トゥルパーズの続編が作られていた事が判明。先日WOWOWで放送したので見てみた。

 「宇宙の戦士」は原作からして軍隊礼賛な内容で物議をかもした小説なんだけど、続編の映画ではいよいよ軍国主義的な内容で、ちょっと気分が悪くなる。

 軍の最高司令官が歌う「今日は死に日和」が流行歌だとか、もうアホかという程に軍事国家。

 退役軍人が赤ん坊に「大きくなれよ」「大きくなって、軍隊に入って、国の為に死ねよ」とか言う。

 第1作では新兵をスパルタ式に鍛え上げる様が印象的なだけで、国家体制についてはほとんど触れていなかったが、第2作、第3作では国家が軍隊最優先の軍事国家であるという点に重点を置いている作りになっている。

 軍事優先を批判する人たちを処刑するシーンとか出てくるのだが、基本スタンスは「さあ、君も軍隊に入って戦おう!」なので、この映画の真意がよく分からない・・・。

 あと、「信仰の力」というのがキーワードになってるのも違和感が。「天にまします我らが父よ・・・」とか祈ってるシーンが何度も出てくる。最終的には軍も信仰を取り入れて、「神は実在し、我らの味方である」という宣伝をする。

 ちなみに第3作の最後の方で、遂にパワードスーツ(「マローダー」と呼ばれている)が新兵器として登場する。

 外見は昔あった「ガンヘッド」的で、あんまりかっこよくはないが、6人程度の戦力で、あれほど苦戦していたバグズの大群を粉砕。すげー強い。

 そして最後は「あなたの力が必要です!」「君もマローダーを着るか?!」「戦場で会おう!!」なのだ。う〜ん、第1作とは全く別物の、ナンジャコリャ映画です(-_-;


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