大怪獣東京に現る

怪獣が出ない怪獣映画


 「大怪獣東京に現る」(1998年松竹配給)という映画を観た。

 福井県三国町の人たちが主人公。突然東京に上陸した大怪獣が福井にまで来るんじゃないか? いや来ないだろう? いや、来そうだ! 来たらどうしよう! などと慌てふためく様子を描いた実写映画だ。

 怪獣の姿は一瞬たりとも登場せず、特撮シーンもほとんど無い(爆風で車が吹き飛ばされるシーンとか、ミサイルが飛んでいくシーンなどごく短いカットはある)。吉本興業が製作に加わっているのでコメディなのかな?と思っていたが、実際にはけっこうマジな映画だった。ある意味傑作かも。少なくとも平成ゴジラシリーズよりは何十倍も面白かった。

 東京に上陸した大怪獣(名前は無い。ゴジラのような姿をしているらしい)のおかげで東京周辺は2日間で焼け野原になってしまった。それでも三国町の人たちは、対岸の火事程度にしか考えていなかった。しかし東京から山梨方向に進む怪獣の動きを知って、「まさか福井には来ないよな・・・?」「長野県に入ったら俺達も逃げよう」などと言い始める。

 ここぞとばかりに「世の終わり」を唱える新興宗教の女。怪獣のおかげで東大受験どころではなくなってしまった浪人生。恐怖のために頭がおかしくなって女子高生を襲う高校教師。最後の切り札に核兵器を使うんではないかと心配する反核運動作家。若気の至りで子供ができてしまったらしい女子高生(?)とその男、などなどがそれぞれに並行同時進行で慌てふためく。

 途中、九州の福岡にも亀のような大怪獣が上陸し、両者は京都で激突。そのまま福井の方になだれ込んでくる。最終的には、怪獣は海の彼方に去って行って終わるのだが、その後、生き残った人たちがワラで怪獣の人形を作って、いかだに乗せて海に流すシーンが情緒があって良かった。この事件後、毎年この季節になると怪獣ワラ人形を海に流す風習が生まれたという結末。実際にこういう事件が起こったら、本当にこういう風習ができそうな気がする。上手い。


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