平成ガメラ3部作


 私が子供の頃は毎年のように怪獣映画が作られていて、みんなそれを楽しみにしていたものだった。大御所はやはり東宝のゴジラ。大映のガメラも人気はあったけど、ガメラは最初の頃から「子供の味方」という路線があって、人類の敵であるゴジラに比べて、何だかイージーな雰囲気があり、子供心にも「ゴジラ=本格派」、「ガメラ=子供向け」というような気分があったと思う(特に「ガメラ対バイラス」以降)。

 という訳で、怪獣映画が絶えて久しかった80年代初頭、ゴジラ復活を待望する人はたくさんいたが、ガメラ復活を待望する人はあまりいなかったんではないかと思う。

 で、その後ゴジラ映画は復活し毎年製作されるようになった訳だが、これの出来がちょっとその・・・、何というか・・・、ひどい物ばかりなのだ。可愛さ余って憎さ百倍。私はもう見るのも期待するのもやめてしまったのだった。そんな時、突如現れたのがガメラだった。

「ガメラ・大怪獣空中決戦」
 ガメラに特別な思い入れが無かった私だが、予告編を見たら「これは凄いかもしれないっ!」と予感したのだった。どこら辺がそんなに凄そうなのかと言うと、何と言っても特撮の出来。普通、怪獣が炎を吐く特撮は、光線っぽい効果を合成で入れるか、あるいは実際の炎(ちょっとショボい)を合成したりする程度なのだが、この平成ガメラでは炎の映像をコンピューター処理して合成し、本当に巨大な火の玉を吐いているような迫力のある画面が作られていた。

 今でこそコンピューターによる合成処理は珍しくないが、当時は(少なくとも日本の特撮では)画期的だった。「こんなやり方があったのか!」と、目から鱗が落ちる思いだった。ゴジラ映画の特撮がいつまで経っても旧態依然のワンパターンだった事も手伝って、平成ガメラへの期待は高まったのだった。

 で、特撮以外の部分でも、「俺達はこんな怪獣映画が観たかったんだ」というような凝った内容になっており、気が付けばもう完全にガメラファンになっていたのだった。例えば、それまでは模型と火薬でやっていたミサイルをCGで(かっこ良く)描いているとか。敵役の怪獣が同じ種類で何匹も登場するとか。ガメラは味方なんだけど、大人にはなかなか味方だと解ってもらえないとか。怪獣による被災者をテレビのニュースで報道しているとか。などなど、それまでにはあまり無かった、そしてその後の怪獣物に大きく影響を与えた要素をたくさん含んでいた。

 平成ガメラでも「ガメラは子供の味方」という、昔のガメラと共通する要素がちゃんと表現されているのだが、だからと言って子供に媚びるような内容にはなっていない。子供向けっぽくせずに「子供の味方」というのを出すのはかなり難しいと思うのだが、上手くやっている。

 身を挺して子供助けるガメラの描写が、ビビビッと怪獣好きのハートを刺激するのだ。思わず「あ、ありがとうガメラ!」と思ってしまうのだ。だから素直にガメラを応援できる。「がんばれガメラ!」「負けないで!ガメラ!!」って。

 最後のシーンで、去っていくガメラを見ながら主人公が「(次にまた恐ろしい敵が現れた時にも)来るよ!ガメラはきっと来るよ!」と、力強く言うのがトドメ。もう、ジーンと来ましたね。

 本家直系のゴジラが昔の怪獣映画の悪い所を受け継いでいるとすれば、平成ガメラは昔の怪獣映画の良い所を隔世遺伝で受け継いだ、と言えるでしょう(キッパリ!)。


「ガメラ2・レギオン襲来」
 これも期待を裏切らない出来で嬉しかった。(この手のパート2物って、期待を裏切る方が多いからなあ)

 これまで怪獣映画で日本各地の都市が襲われて大被害を被って来たが、街全体が壊滅という程の事は無かった。ところが今回の映画では仙台が本当に壊滅してしまうのだ。仙台駅前あたりを爆心として半径5キロくらいの広範囲が完全に破壊されてクレーターになってしまうんだな、これが。

 クレーターの遠景をバックに「仙台壊滅」とでっかい文字が出た時には映画館場内にドヨメキが起こった。なにしろ今映画を観ているこの映画館は仙台駅のすぐそばにあるのだから。もし本当なら映画なんか観てる場合じゃねーぞ!おいおい、マジかよという感じなのだ(^^; 怪獣映画で被害を受けた街は数々あれど、ここまで完膚なきまでに被害を受けた都市は初めてなのでは?

 レギオンはめちゃくちゃ強敵で、思わず「ガメラ頑張れ〜」と応援してしまいたくなる。一度は破れたガメラだが、元仙台だったクレーターで復活する。ここで子供達がガメラ復活を祈るシーン。ここで「子供の味方、ガメラ」というのが生きてくるんだよな。「ガメラ、生き返ってレギオンをやっつけてくれよ〜」(こんなセリフは無いけど)という子供達の祈りが、またジーンと来る。

 しかしガメラを味方だと思っているのは一部の人達だけで、政府や自衛隊はガメラを攻撃してしまうのだ。歯がゆい! だが、自衛隊の師団長が悩んだ末に「ガメラを援護せよ!」と命令。自衛隊の援護でガメラに逆転のチャンスが! 最後はガメラの秘密の必殺技(まるで「ドラゴンボール」のクライマックスみたいなの)が炸裂してレギオンを粉砕する。去っていくガメラに自衛隊の隊員たちが敬礼するシーンが、これまた感動的だ。鳥肌立つ。


「ガメラ3・邪神覚醒」
 これまでもそうだったけど、今回は特に怪獣の恐さを強調した作りになっている。ハードだ。恐いです。特に渋谷壊滅のシーンが。街で怪獣が暴れたらこんなに怖いんだぞっ!という事がバババーンと叩きつけられる。

 この映画ではガメラは悪役。ガメラ自身は敵と戦っているだけなのだが、そのとばっちりで街に甚大な被害が出てしまう。だから誰もガメラの味方になってくれない。そこに現れる強大な敵。独り(一匹)でも戦い続けるガメラの背中に男の哀愁が・・・。

 そして終わり方が意外な終わり方だな。
 例えて言えば「メガゾーン23」の終わり方みたいな感じか?(ちょっと違うか) あるいは、「男には・・・負けるとわかっていても行かねばならぬ時がある・・・」という感じか。(これもちょっと違うなあ)

 つまり、ガメラが勝って終わるような単純な終わり方ではない。何かの評論で「後味が悪い終わり方」などと書かれていたけど、私はあの終わり方が良いと思ったね。いつまでもズルズルと続くゴジラシリーズへのアンチテーゼか。(この結末、映画館で見てて思わずニヤリとしてしまったぜ)

 特殊効果も素晴らしく、凄い迫力。ただしあまりにも迫力を出し過ぎて、何がどうなったのか分かりにくい場面もあったのが残念。あと、イリスに殺されてミイラみたいになった死体が出てくるのだが、これの出来がイマイチかな? 他の特撮シーンの完成度が高い分、そこだけ見劣りした。

 脚本に関しては、変にイッちゃってる天才プログラマーと、内閣調査室の謎の巫女がどういう役割で登場したのかがイマイチ明確でなくて、何か凄い秘密があるのでは?!と期待させておいて単なる狂言回しで終わったのが惜しまれる。


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