吸血鬼ゴケミドロ

できれば忘れたままでいたかった・・・。


 宇宙から来たスライムみたいな宇宙生物「ゴケミドロ」が、人間の脳に入り込んで吸血鬼になり次々と人を襲うというホラー映画(1968年、松竹)。吸血鬼自体はそんなに怖くないのだが、人間の額がぱっくり割れて、そこからゴケミドロが出たり入ったりする所がメチャ怖い。

 小学校の頃、友達の家にあった雑誌にこの映画をマンガ化したヤツが載っていて、それをチラッと読んだのだが、こいつが猛烈に怖くて、その日の夜から眠れなくなってしまった。マンガだけでもこんな恐慌状態だったので、映画の方を見るなんてとんでもない! 上映している映画館に近寄る事すらできなかったくらいだ。

 公開されたのは確か夏だったと思うのだけど、この恐怖はその夏だけにとどまらず、その後3年くらいは夏になるとゴケミドロを思い出して夜眠れなくなったのだった。そんな強烈なトラウマを残した映画。それが「吸血鬼ゴケミドロ」。


 舞台は旅客機という一種の密室。冒頭からいきなり血のように赤い不気味な空。そして飛行機の窓にぶつかって死ぬ鳥。不気味な前兆だ。いやが上にも不安な気持ちにさせられる。

 旅客機は謎の飛行物体に遭遇し、見知らぬ山中に不時着。助けが来るのかどうなのかも分からず、不安と恐怖のためにエゴむき出しで争いだす登場人物たち。

 宇宙から来た侵略者ゴケミドロも怖いけど、むしろ、極限状態の中で自分の事しか考えられなくなった(本性が現れた)人間たちの方がどうしようもなく怖い。人間が持つエゴが破滅をもたらすというテーマが、単なるホラー映画で終わらせていない。SFホラーの古典「遊星よりの物体X」にも負けない名作と言えるのではないだろうか?


 子供の頃の記憶としては、「ノストラダムスの大予言」や「日本沈没」「デビルマン(マンガの方)」「恐怖新聞」「ザ・ムーン」などの暗くて破滅的な話と、時期的にごっちゃになってる感じなのだが、実際にはゴケミドロの方が5年くらい早いのね。これはちょっと意外。

 俺にとっては「マタンゴ」や「ブルークリスマス」と共に最大級のトラウマ映画なので、大人になってからもずっと避けて通ってきたのだが、今回コクーンが勝手に録ったので、半分仕方なく観た。

 昔の特撮モノにありがちな安っぽさが無く、完全に大人向けの内容。特撮の出来も悪くなくてビックリ。そしてシビアで何の救いも無い結末はやっぱり強烈。子供が見たらトラウマ化は必至。

 ちなみに、特撮はあのピープロが担当したそうで、登場する「空飛ぶ円盤」は「宇宙猿人ゴリ」に流用されたという。そういわれてみればそっくりだ。

[2008/09/21]


戻る